例えば、衛星データを農漁業に活用…宇宙ビジネス参入、県が後押し ロケット射場が二つある鹿児島進出を促進、県内外200社調査へ

小型月面探査機「SLIM(スリム)」を搭載し、種子島宇宙センターから打ち上げられたH2Aロケット47号機=2023年9月7日、南種子町

 鹿児島県は2024年度、宇宙ビジネスに参入する企業の支援を強化する。「宇宙ビジネス創出推進事業」に23年度当初予算比1.7倍の3320万円を計上した。優れた技術や知見がある県内企業を掘り起こして参入を後押しするとともに、既に参入している県外企業が鹿児島に進出しやすくなるよう調査を始める。

 国は23年6月に閣議決定した宇宙基本計画で、宇宙産業の国内市場規模を30年代に20年比倍増の8兆円にする目標を掲げた。24年度からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間で総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」を設け、企業や大学による宇宙分野の技術開発を支援する。

 国の方針を踏まえ、県は24年度、潜在性の高い県内企業と、宇宙産業に既に参入している県外企業計約200社にヒアリングを実施。宇宙産業への関心度や応用可能な技術の有無、参入の障壁になっている課題、企業立地に求める条件を調べて情報を整理。宇宙ビジネスへの参入につなげる。

 県は22年6月に産学官で「県宇宙ビジネス創出推進研究会」を発足。宇宙産業に関心のある企業のマッチングや人材育成を進めている。衛星データを活用して赤潮の移動や拡散を予測する実証試験をしている企業などを支援している。

 塩田康一知事はJAXAが運営する種子島宇宙センター(南種子町)と内之浦宇宙空間観測所(肝付町)を「鹿児島の大きな宝」と位置付け、「宇宙関連産業の着実な発展と地域活性化につながる取り組みをしていく」としている。

〈関連〉2018年12月、報道陣に公開された、複数の超小型衛星を搭載するアルミ製装置=肝付町の内之浦宇宙空間観測所

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