マンション売却の実態を不動産情報のプロが解説、大切なのは「不動産会社選び」?

最近、新築マンションの価格上昇が話題となっていますが、実は中古マンションの価格も上昇しています。マンションの売却を検討する人もいらっしゃるかと思いますので、今回はアットホームの調査をもとに、売却を依頼する不動産会社の選び方や不動産会社とのコミュニケーション、売却価格の実態について解説します。

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【マンション売却の最新動向】中古マンションの価格が上昇!?

近年、中古マンションの価格が上昇しています。

アットホームの調査によると、東京23区の中古マンション1戸あたりの平均価格は2024年1月時点で「5099万円」でした。これは、2017年1月の調査開始以来最高額で、6ヶ月連続で更新しています。東京都下(23区以外)でも2017年1月以降最高額を更新するなど、東京都の中古マンションの価格上昇は続いています。

東京都の中古マンションは価格上昇を続けている

【マンション売却の最新動向】売却理由は?

マンションを売却する人はどのようなきっかけ・理由で売却を行ったのでしょうか?

2018年7月以降、住替えのために国内のマンションを売却したことがある30~69歳を対象に実施したアットホームの調査では、売却理由について債務整理や相続資産の整理を除き、「住む場所を変えたかったから」「一戸建てに住み替えたかったから」がそれぞれ2割を超えました。

次いで挙がっているのが、「家族構成が変わったから」「新築・築浅の家に住み替えたかったから」といった声。エリアの変更や一戸建てへの変更など、さまざまな理由で売却しているようです。

マンション売却の理由のトップは「住む場所を変えたかったから」

【マンション売却の最新動向】大切なのは、不動産会社選び

一方で、「マンションの売却を考えているけれど、何から始めたらよいか分からない」という方もいると思います。まず売却を検討する際に大切なのは、売却を依頼する不動産会社選びです。

アットホームの調査で、売却を依頼した不動産会社を見つけた経緯について聞いたところ、「次に住む物件を購入・借りる際に利用する予定の会社だった」が18.8%とトップでした。次の住まい探しの際にやり取りしている不動産会社に売却を依頼する人が多いようです。

次いで16.4%だったのが「一括で物件の売却査定依頼ができるサービス」。アットホームをはじめ、さまざまな企業が提供している一括売却依頼サービスを通して依頼する方も多いようです。そのほか、「『不動産 売却』などのキーワードでインターネット検索」や「不動産会社を直接訪問」という回答も約15%となりました。

また、不動産会社を選ぶうえで重視したことも聞いたところ、「実績が豊富なこと」が 37.0%でトップでした。より希望に近い条件で売却するために、不動産会社の実績を重視する方が多いようです。

売却は「次に住む物件を購入・借りる際に利用する不動産会社」を利用しているケースが多い

【マンション売却の最新動向】不動産会社に教えてもらって良かったこと

売却を依頼する不動産会社を決めた後は、しっかりと不動産会社とコミュニケーションを取りながら、不明点はどんどん不動産会社に確認していきましょう。

マンションを売却したことがある人を対象に実施したアットホームの調査によると、不動産会社に教えてもらって良かったことは、半数以上が「売却にかかる諸費用」と回答しました。

マンション売却時には不動産会社に支払う仲介手数料や印紙税、各種証明書を準備するための費用などが発生するため、不動産会社から教えてもらって良かったと感じた人が多いようです。

不動産会社に教えてもらって良かったこととして挙がったのは「売却にかかる諸費用」

【マンション売却の最新動向】売却物件の築年数、広さは?

では、実際に売却できた物件は、どのような物件が多いのでしょうか?

アットホームの調査では、売却時の築年数は平均19.1年、売却物件の広さは平均73.7平方メートルでした。

また、売却までにかかった期間についても調査したところ、平均3.9カ月でした。最も多かったのは「1カ月」が28.5%、次いで「3カ月」が22.3%となりました。

約7割が3カ月以内に売却しており、「13カ月以上」かかったと回答したのは3.1%と、物件の条件などによって差がありそうです。

売却時の築年数・物件の広さ・かかった期間は?

【マンション売却の最新動向】気になる査定価格、成約価格は?

気になる価格についても見ていきましょう。

売却する不動産の価格には、査定時に提示される「査定額(査定価格)」と、実際に売り出される価格である「売出価格」、買主と売主で最終的に決めた契約時の価格である「成約価格」があります。

まず、不動産会社から提示される査定額について調査したところ、査定額の根拠として不動産会社から提示された情報は「同じマンションの成約情報」が最多の37.7%でした。次いで「周辺のマンション情報」「周辺の類似物件の成約情報」と続き、周辺物件の状況を提示するケースが多いようです。

査定額の根拠として提示されることが多いのは「同じマンションの成約情報」

では、売却時の成約価格はどのような結果になったのでしょうか?

マンションを売却したことがある人に聞いたアットホームの調査では、成約価格と売出価格の乖離率は平均-4.5%という結果になりました。プラスに転じている(成約価格が売出価格を上回る)ケースは少なく、値下げなどしながら売却を行ったようです。

また、売却までにかかった期間別にみると、概ね期間が長くなるにつれて乖離率も大きくなる傾向が表れました。

成約価格と売出価格の乖離率は?

【マンション売却の最新動向】依頼する不動産会社選びが満足度に直結

アットホームの調査では、売却の満足度も聞きました。その結果、10点満点中7点以上が全体の66.5%と、売却結果に対して全体的に満足している人が多かったです。

その理由を聞いたところ、「希望価格で迅速に売却できたから」「売却時の写真の撮り方や、売り方について、とても詳しく説明してくれたから」「事前の相談がしやすく、レスポンスが早かったから」など、不動産会社の丁寧な対応に好印象を持った方が、売却に対して満足しているようでした。

また、アットホームに加盟する不動産会社を対象に実施した調査で、物件を希望通りに売却するためのアドバイスを聞いたところ、「複数の不動産会社の営業担当者に面談し、信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。また、高く査定する会社よりも、どうやって売るのかを戦略的にアドバイスしてくれる会社を選ぶと、売却が満足いく形で成功する確率が高まると思います」「デメリット部分は正直に相談をして、デメリットを最小限にしようと考えてくれる不動産会社に売却を依頼することがベストです」というコメントが上がりました。

売却時には、依頼する不動産会社選びが大切です。不動産会社としっかりコミュニケーションを取り、満足のいく売却結果につなげましょう。

参考資料

  • 不動産情報サイト アットホーム「不動産用語集」
  • アットホーム株式会社「マンション売却に関する実態調査」
  • アットホーム株式会社「2024年1月 首都圏における「中古マンション」の価格動向」
  • アットホーム株式会社「不動産のプロが選ぶ!「不動産売却準備で押さえておくべきポイント」ランキング」
  • 不動産情報サイト アットホーム「不動産一括査定依頼サービス」

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