幻の名作たちをタイムスリップ感覚で鑑賞できる 大西みつぐ写真展「TOKYO EAST WAVES」

By CAPA編集部

大西みつぐさんの写真展「TOKYO EAST WAVES」が、2024年3月29日より開催される。

「NEWCOAST」より

「幻の名作」たちを振り返るプロジェクト

大西みつぐさんは、ずっと東京の東側に暮らしながら、町の表情を撮り続けてきた。結婚を機に海岸沿いの埋立地にできた新しい町へと引っ越してからは、生活者でありながら観察者として地元を撮影。時代の波に伴い、移り変わりゆく新旧の風景が同居するこの町を写して「河口の町」として発表し、1985年の平凡社太陽賞を受賞した。

また、土地の固有性が薄い郊外のニュータウンを取材した「周縁の町から」(および「遠い夏」) は1993年に木村伊兵衛写真賞を受賞。さらにバブル時代の臨海地区を撮影した「NEWCOAST」は1995年に東京都写真美術館のオープニングを飾ったが、これら3つの作品群は、その後、どれも本の形になることはなかった。

どの作品も、その年代特有の雰囲気が濃厚だ。当時は「普通」だったはずの人々の行動や風景の中には、今では考えがたいような場面も多い。当時そこに生活しながら、かすかな違和をつかみ取った大西さんの感覚に、あらためて驚きを覚える。「これらの風景は、どうなっていくのだろう」「後で見たらどう思うのか」そんな興味を持ちながら「素早く、でもフワッと」撮っていた、と大西さん。作品を今振り返ると「当時の風景が波のように押し寄せてくる感じがある」と言う。

これらの作品群が、今回『TOKYOEAST WAVES』として1冊にまとめられた。刊行と同時に行なわれる写真展では、発表当時のオリジナルプリントが展示される予定だ。タイムスリップした感覚で、鑑賞したい。

大西みつぐ個展「TOKYO EAST WAVES」

会期 2024年3月29日 (金) 〜4月25日 (木)
会場 コミュニケーションギャラリーふげん社
住所 東京都目黒区下目黒5-3-12
時間 12:00〜19:00 (土曜・日曜は18:00まで)
休館日 月曜
入場料 無料
問い合わせ コミュニケーションギャラリーふげん社 (TEL 03-6264-3665)

関連イベント

オープニング・レセプション

日時 2024年3月29日(金)18:00〜20:00
会場 コミュニケーションギャラリーふげん社
参加費 無料
申し込み 不要

ギャラリートーク 大西みつぐ × 大山 顕

日時 2024年4月7日 (日) 14:00〜15:30
会場 コミュニケーションギャラリーふげん社
出演 大西みつぐ、大山 顕 (写真家・ライター)
参加費 1,000円 (税込)
備考 オンライン配信あり (参加費は会場観覧と同額)
※アーカイブ視聴は2024年5月6日まで
申し込み WEBサイトより
https://fugensha.jp/events/240407talk/

目黒街歩き+ミニトーク「TOKYO EAST WALKS」

日時 2024年4月13日 (土) 13:00〜15:00 雨天決行
会場 目黒不動尊エリア、コミュニケーションギャラリーふげん社
講師 大西みつぐ、ジョン・サイパル (写真家)
参加費 2,000円 (税込)
定員 15名
持ち物 撮影機材 (スマートフォン可)
申し込み WEBサイトより
hhttps://fugensha.jp/events/240413walk/

大西みつぐ (Mitsugu Ohnishi)

1952年、東京都深川生まれ。第22回平凡社太陽賞、第18回木村伊兵衛写真賞、2017年日本写真協会賞作家賞を受賞。専門学校や大学などで教鞭を執りながら、作家活動を続けている。個展、作品集多数。最新刊に『TOKYOEAST WAVES』(ふげん社)。日本写真家協会、日本写真協会会員。
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〈文〉高橋佐智子

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