「8トンの湿ったみその下にあれば水分は到達」みそタンクは血痕の酸化進む環境と証言【袴田事件再審第12回公判速報】

1966年、静岡市旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害するなどして、死刑判決を受けた袴田巖さん(88)の再審の第12回公判が3月27日、静岡地方裁判所で行われました。26日に続き、物理化学が専門の石森浩一郎北海道大学教授に対する証人尋問が行われました。

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最大の争点となっている事件発生から1年2か月後に現場のみそタンクから発見され、犯行着衣とされた「5点の衣類」の血痕に赤みが残るか、化学反応で黒く変化するのかという点をめぐり、尋問が続きました。

検察が行ったみそ漬け実験について、旭川医科大学の清水恵子教授が26日の尋問で「脱酸素剤を使って酸素濃度を0.1%にするなど、赤みが残りやすい条件の実験だった」と指摘したことについて、検察が反論すると、石森教授は「みそは固体で酸素の拡散は遅く、(酸素濃度が)0.1%以下になることはない」と述べました。

また、石森教授は5点の衣類が見つかったみそタンクの状況について、「(現場)写真を見た限り、(5点の衣類が)8トンもの湿ったみその下にあれば、1年もあれば、水分は到達する」とし、その水分により酸化が進むことで血痕が黒くなるとの見解を示しました。

検察側は、赤みが残った実験結果の写真を石森教授に繰り返し示そうしたところ、静岡地方裁判所の國井恒志裁判長から「それを判断するのは裁判所です」と指摘される一幕もありました。

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