93歳「書道は生きがいであり心のよりどころ」 最高齢出品者の田端喜代さん 沖展入選30回以上、意欲尽きず

[沖展 2024 75th OKITEN EXHIBITION]

 浦添市のANAアリーナ浦添で開かれている第75回沖展の全12部門の展示作品で、最高齢の出品者は書芸の一般で入選した93歳の田端喜代さん=那覇市=だ。1989年に初めて出品し、これまで30回以上の入選を果たしている。「書道は私の生きがいであり心のよりどころ。出合えたことに感謝している」。書き続ける意欲は尽きない。(社会部・垣花きらら)

 書道を始めたのは約50年前。当時小3だった末っ子が書道教室に入会したことをきっかけに、自身も一緒に習い始めた。

 濃淡や抑揚、筆の入れ方によって全く違った作品になる面白さにどっぷりとはまった。夢中になり、10時間ぶっ通しで書き続ける日もあった。

 師範を取得したのを機に、沖展には35年前に初出品。「会場に展示された作品を見た時はとっても感動した。その後、何度も展示してもらえたけど、いまだに恥ずかしくて離れた所から見ている」と笑う。

 15歳の時、沖縄戦に巻き込まれ、家族5人で那覇から辺野古まで2日間かけて避難した。家族全員、命こそ助かったものの、戦後も苦しい思いをたくさんしてきた。「平和だからこそ書道を続けることができる」と語る。

 今回出品した作品は一番好きなスタイルの漢字。1日約4時間、約3カ月かけて完成させたという。「趣味で始めたけど、書道はとっても奥深い。自分の作品にはまだまだ満足できない」と意欲を見せる。展示を見に来た田端さんの長女は「5人の子を育てながら、50年近く続けてきた母を誇りに思う」と話した。

「いつまでも書道を続けたい」と語る93歳の田端喜代さん=23日、浦添市・ANAアリーナ浦添
田端喜代さんの作品「春日郊外 他一首」

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