野外活動で悲劇繰り返さぬよう…スライダー児童死亡事故、報告書まとめる スタッフ全員で事前の実地踏査、責任者の配置を 島根・邑南

石橋良治町長(左)に報告書を手渡す中村健太委員長=島根県邑南町矢上、町役場

 島根県邑南町市木の瑞穂ハイランド内のウオータースライダーであった児童死亡事故の検証委員会(委員長・中村健太弁護士、5人)が26日、再発防止策をまとめた報告書を石橋良治町長に提出した。町内で実施する野外活動では、スタッフ全員による事前の実地踏査や現地責任者を配置することを盛り込んだ。

 報告書はA4判30ページ。事故を検証した過去4回の会合を踏まえ、当時のスタッフ配置の検討や事故時の情報共有が不足していた問題点を指摘。再発防止策には責任者の配置をまとめたマニュアルの作成や、事故発生時の行動手順を記したアクションカードの用意などを盛り込んだ。

 町矢上の町役場で中村委員長(46)が「報告書に基づいて日々の業務に当たってもらい、より良い方向に生かしてほしい」と述べ、報告書を手渡した。委員からは報告書の内容を受け、子どもたちの活動の場が減ることがないよう求める声もあった。

 石橋町長は「マニュアルを通じて全職員への啓発や訓練を繰り返し行い、再発防止にしっかり取り組む」と決意。町教委は報告書を基に危機管理のマニュアルを作成し、内容を徹底した上で野外活動を再開する。

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