3月といえば、卒業シーズン。「あぁ〜、卒業式帰りやなあ」と感じるような、ハレやかな顔をして帰る姿をよく見かけます。
そんな姿を見ていると、自分の卒業のときに感じた、慣れ親しんだ学校や友だちと離ればなれになる切なさを思い出したりなんかして……。
そんな話をアメリカに住む高校時代の同級生と話していると、「いま!? そうか、日本やったらいまやったなあ……」と、忘れかけていたかのようにひと言。
そうなんです。アメリカの卒業シーズンはだいたい5月下旬から6月ごろ。ですからピンとこないんですね。
長年アメリカに住み、アメリカ人と結婚。そして自身の子どもも昨年アメリカの高校を卒業した友人に、アメリカの卒業式について聞いてみました。
まずびっくりしたのが、その学校の卒業式は野外で行われるということ。
学校のグラウンドに卒業生が入場してきて、式に出席するお父さんやお母さんはグラウンドにあるスタンドに着席。我が子が入場してくると声援を送ったりするんですって。まさに、スポーツ観戦と同じような雰囲気。
スタンドに座る皆さんの服装も、少しきれいめではあるもののラフでカジュアル。
さらに、卒業式は生徒1人に4枚が配られるというチケット制。家族以外の参加もOKで、なかには別の学校に通う彼氏が参加したりと、割と自由なんです。
日本の卒業式ではみんなで卒業ソングを歌って、そこで感極まって涙が出てきたり……なんてこともあります。
ところが、友人の子が通っていた学校では、コーラス部の数人が前に出てなにやらきれいな歌声を披露してくれて、それを聴くだけのスタイル。
校長先生がスピーチをするというのは日本と同じなのですが、めちゃくちゃアッサリ。めちゃくちゃ短め。なんとかなんとか言うたあと、「グッド・ラック!」で、それで終わり。
そのたびに、卒業生やスタンドのお父さんお母さんから歓声があがります。
そのあとは、おなじみ。卒業生が空に向かって一斉に「ウワァ〜!」と帽子を投げて終わり……。
いつ泣くん?
この学校だからかもしれませんが、泣けない理由のひとつに気温もあるのだそう。野外での開催であることと、季節は夏へと向かっているからでしょう、とにかく暑いらしいんです。
そんなふうに、アメリカと日本の卒業式の雰囲気はまったく違うのです。友人に、「なにか共通点はない?」と尋ねてみたところ、こんな言葉が返ってきました。
「そうやな……。卒業式そのものではないけど、卒業式のときにもらう卒業証書は、日本と一緒でもらったあとに使うことはほとんどないから、押し入れかどっかにしまいこんでどこにあるかわからんようになってる人が多いわ。日本と一緒やろ?」
確かに……。
※ラジオ関西『バズろぅ!』2024年3月27日放送回より
(『バズろぅ!』ラジオパーソライター・わきたかし)