ホンダ NSX(2代目)は、モーターでハンドリングをコントロールする革命的HVスーパースポーツカーだった【スーパーカークロニクル/126・最終回】

1970年代の後半に大ブームが起き、今もなお人々を魅了してやまないスーパーカーたち。そんな懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまでを紹介していく、スーパーカークロニクル。最終回となる今回は、ホンダ NSX(2代目)だ。

ホンダ NSX<2代目>(HONDA NSX:2016〜2022)

車体サイズは初代よりひと回り以上大きくなったが、車両感覚をつかみやすいデザインで取り回しは悪くない。

15年以上にわたって生産され、日本初の本格的な量産ミッドシップスーパーカーとして人気を博した だったが、2005年末に生産を終了。その後継車の存在を具現化した「NSXコンセプト」は、2012年のデトロイトモーターショーで公開された。詳細なスペックや3年以内に発売するというステートメントも発表され、世界中のホンダ ファンは色めき立った。まずは2016年に北米で生産と販売が始まり、日本でも2016年夏に発表、翌2017年から発売が開始された。

スタイリングのイメージは初代NSXを踏襲している。初代でも特徴的だったミッドシップ車特有のボディサイドのエアインテークはCピラーと一体化して大型化され、フローティングCピラーを形成している。ボディと面一化されたドアハンドルやステーの長いアウターミラーなど、空気抵抗低減を追求している。サイズ的には初代より40mm長く、130mm幅広く、45mm高い。

シャシにはアルミニウムを中心とした複合素材によるスペースフレームが採用され、ボディパネルにも軽量化や歩行者保護の観点から、アルミニウムやカーボンファイバー、耐熱プラスチックなど、さまざまな素材が使い分けられている。

パワートレーンは、V6 DOHCエンジンをミッドシップ搭載するのは初代と同じだが、排気量は3.5Lにアップされてツインターボを装着。しかも、前輪に2基、後輪に1基の電気モーターも組み合わせて4輪を駆動する世界でも稀な「スポーツハイブリッド SHーAWD」システムを採用。左右前輪のトルク配分を自在に制御する異次元のコーナリング性能を実現した。

システムの最高出力は581ps、最大トルクは645Nm。ヨーロッパのスーパースポーツカーと比べても遜色のないパワースペックを実現した。しかも、ストレスフリーの9速DCTで、インテリアも視認性に優れたTFTメーターやホンダ インターナビなどの充実した装備、さらには先代同様に十分な広さを持ったトランクスペースを確保するなど、実用性を高めているのが日本のメーカーらしい。

日本仕様も米国の工場で生産される。2021年には、内外装をモディファイし、システムのパワースペックを529psと667Nmにアップした「タイプS」を発表。これが最終モデルとなり、2代目NSXは2022年11月に生産を終了した。

2021年に発表された、2代目NSXの集大成であり最終モデルとなった「タイプS」。内外装やパワートレーンがブラッシュアップされた。

全長×全幅×全高:4490×1940×1215mm
●ホイールベース:2630mm
●車両重量:1800kg
●パワーユニット:60度V6 DOHCツインターボ+3モーター
●総排気量:3492cc
●エンジン最高出力:507ps/7500rpm
●エンジン最大トルク:550Nm/2000-6000rpm
●モーター最高出力:37ps/4000rpm ×2+48ps/3000rpm
●モーター最大トルク:73Nm/0-4000rpm ×2+148Nm/500-2000rpm
●システム最高出力/最大トルク:581ps/645Nm
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・59L
●トランスミッション:9速DCT
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:前245/35ZR19、後305/30ZR20

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