年金の支給額が低い場合、月5000円くらいの給付金があると聞いたのですが何でしょうか?

年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、年金額が一定基準よりも少ない場合にもらえる給付金について、専門家が説明します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に回答します。 今回は、年金額が一定基準よりも少ない場合にもらえる給付金について説明します。

Q:年金の支給額が低い場合、年間の支給額が低い場合に月5000円くらいの給付金があると聞きました。どのような給付金ですか?

「年金の支給額が低い場合月5000円くらいの給付金があると聞いたのですが何でしょうか? 教えてください」(みかんさん)

A:おそらく『年金生活者支援給付金』のことではないでしょうか

相談者「みかん」さんのおっしゃる5000円ぐらいの給付金についてですが、おそらく『年金生活者支援給付金』のことではないでしょうか。 年金生活者支援給付金とは、公的年金等の収入額が一定基準よりも少ない人の年金に上乗せされて支給されるものです。消費税の増税分が活用されています。 年金生活者支援給付金は、老齢生活者支援給付金(収入により「補足的老齢年金生活者支援給付金」)、障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の3種類があります。 老齢生活者支援給付金(収入により「補足的老齢年金生活者支援給付金」)は、老齢基礎年金を受け取っている方が対象となりますが、所得制限があり、次の要件をすべて満たしている必要があります。 (1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者 (2)同一世帯の全員が市町村民税非課税 (3)前年の公的年金等の収入金額(障害年金・遺族年金等は含みません)とその他の所得との合計額が87万8900円以下 (3)に関して、前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が77万8900円を超え87万8900円以下の場合は、一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。 補足的老齢年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金の要件をあと少しで満たせずに支給されなかった人と、老齢年金生活者支援給付金の支給を受けた人との間で、所得の逆転が生じないようにするためのものです。 老齢生活者支援給付金の給付額は、次の【1】と【2】の合計額となります。給付額は毎年度改定があり、令和5年度は以下の計算式で算出します。 【1】保険料納付済期間の受給額(月額)=5140円(※)×保険料納付済期間/被保険者月数480カ月 【2】保険料免除期間の受給額(月額)=1万1041円×保険料免除期間/被保険者月数480カ月 ※令和6年度は5310円 例えば、納付済月数が60カ月、全額免除月数が240カ月の場合を上記計算式で算出すると、老齢生活者支援給付金の給付額は月額6164円となります。 【1】5140円×60カ月/480カ月≒643円 【2】1万1041円×240カ月/480カ月≒5521円 <合計>【1】643円+【2】5521円=6164円(月額) 年金生活者支援給付金の支給対象には、日本年金機構から請求案内が届きます。

請求手続きの方法

・年金生活者支援給付金の支給対象者で、すでに老齢基礎年金を受給しており、令和5年度に、世帯の変更や、所得額が前年より少なくなった等で、新しく『年金生活者支援給付金』の支給対象者になった人……令和5年9月1日から、順次、日本年金機構から、年金生活者支援給付金の請求案内が届きます。届いた『年金生活者支援給付金請求書(はがき型)』に必要事項を記入し、切手を貼って投函します。 ・年金生活者支援給付金の支給対象者で、まだ老齢基礎年金の請求手続きをしておらず、これから初めて老齢基礎年金を請求する人……老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。 『年金生活者支援給付金』の支給は、請求した翌月分から支給の対象になります。請求手続きの案内が届いたら早めに請求手続きしましょう。 監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー) 都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。 (文:All About 編集部)

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