重い心臓病を患い国内で心臓移植を待っていた男の子 学校に再び通う夢をかなえ少しずつ日常を取り戻す

3年半以上の待機を経て2023年に国内で心臓移植手術を受けた男の子は、再び学校に通う夢をかなえ少しずつ日常を取り戻しています。

2023年11月に大阪府で開催された臓器移植の啓発イベントには、過去に臓器移植を受けた子どもたちが参加しました。京都府の中園瑛心さん(13)もその1人です。
司会者「元気になったら何を一番やりたいと思ってた?」中園瑛心さん「勉強でした」
司会者「夢はどんなこと?」中園瑛心さん「気象予報士です」

元気に小学校に通っていた瑛心さんは、9歳の時に心臓のポンプ機能が低下する拡張型心筋症と診断され、心臓移植が必要と告げられました。
日本の100万人当たりの臓器提供数はアメリカの51分の1、韓国と比べても9分の1ほどで海外での移植に望みを託す患者が少なくありません。

中園瑛心さん(13)

2人の姉妹がいることもあり、瑛心さんの両親は国内での移植を選択しました。瑛心さんは2019年に補助人工心臓を装着し、移植を待つ日々が始まりました。
新型コロナウイルスの感染拡大で医療現場がひっ迫したことなどから、2020年以降は移植件数が減少し、瑛心さんの待期期間は3年半を超えていました。
中園瑛心さん「移植して家に帰って学校に行ってみんなと勉強したい。やっぱり家族で一緒にご飯食べたいです」

2023年にドナーが現れ、瑛心さんは移植にたどり着くことができました。
中園瑛心さん「もう元気でうれしい。その一言かな。鼓動がドキドキが感じやすくなって。元気に動いてるねえって思った」

移植後は長期の入院生活で低下した筋力を取り戻すため、毎日懸命にリハビリに取り組みました。移植から2カ月後には、4年ぶりに家族が待つ家に帰ることができました。その1カ月後には、目標だった地元の中学校への登校を控えていました。
中園瑛心さん「みんなと勉強できるのが楽しみ。ワクワクが止まらない」

4年ぶりに登校

4年ぶりの登校日前日、中学校の制服に初めて袖を通します。期待に胸が膨らむ一方で、少し不安なことも。
中園瑛心さん「みんなに、移植した子だから特別な扱いされそうで」
登校日の朝を迎えました。制服を着て、準備は万全です。移植された心臓を守るための薬を飲んで、出発です。
入院中に中学生になった瑛心さんにとって、まだ慣れない校舎です。緊張とワクワクが入り交じります。
中園瑛心さん「中園瑛心です。よろしくお願いします」
クラスメイトに温かく迎えられ、笑みがこぼれます。

学校は病院や保護者と連携して、瑛心さんが移植を受けたことや生活する上での注意点を生徒たちと共有し、受け入れの準備を進めてきました。
担任の高林幹教諭「瑛心君やから何か特別配慮とか、めちゃめちゃ心配するのではなくて、瑛心君が普通の生活ができるようにサポートしていきたいと思っています」

自分のペースで

この日は体育の授業です。まだ同級生と同じメニューは難しいですが、自分のペースで取り組みます。移植を経て、再び学校に通うという夢をかなえた瑛心さん。
中園瑛心さん「久しぶりすぎて飛び跳ねそうな気持ちです。勉強頑張るぞっていう気持ち」
母親の中園みどりさん「見て初めて本当にああ4年頑張ってきて良かったなっていうことに尽きる。あの子にとっては大きな、新たなスタートラインに立てたんじゃないかなと思います」

復学から約4カ月が経ち、瑛心さんは充実した毎日を送っています。筋力や体力もついて、できることが少しずつ増えてきました。
中園瑛心さん「4月から本格的に部活を決めてテニス部に入ろうと思います。部活見学に行ってきました」

「第二の人生」を歩み始め、心の中のドナーと一緒に瑛心さんは今を生きています。
中園瑛心さん102243~9「自分はまだ生きているよって。だから一生懸命生きるよって(ドナーに)言いたい」

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