新NISA「どうしてもリスクが気になって踏み出せません」という人に欠けた視点

投資をしないリスクとは

2024年1月にスタートしたばかりの新NISA。興味があるものの、リスクを恐れて一歩を踏み出せないという人は多いでしょう。

確かに、投資のやり方によっては大損してしまう可能性もあるので、リスクを恐れる気持ちは理解できます。しかし、別の視点で考えてみると、投資をしないこと自体がリスクになり得ることをご存知でしょうか。

日銀のマイナス金利解除により、メガバンクを中心に預金金利を引き上げる動きも見られますが、それでも年0.02%程度に留まります。

今回は、どうしてもリスクが気になって投資を始められない人が持つべき視点について解説します。

記事後半では【新NISA】2つの非課税投資枠と活用法も紹介しています。投資のリスク以外にも目を向け、投資による資産形成の重要性について考えていきましょう。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

リスクを過度に恐れる人に欠けた視点とは

どうしてもリスクが気になって投資を始められないという人は、以下のような点に目を向けてみましょう。

「元本保証=ノーリスク」ではない

「円預金で持っていれば安心」と考えている人は多いと思いますが、実はそうではありません。

元本が保証された円預金でも、一定のリスクに晒されていることを頭に入れておく必要があります。

資産の大半を円預金で保有するリスクとして、インフレによってお金の価値が相対的に低下する「インフレリスク」が挙げられます。

昨今の物価高で実感した人もいると思いますが、今持っている100万円が、数年後、数十年後に100万円の価値があるとは限らないのです。

銀行の預金金利よりもインフレ率のほうが高い場合に顕在化するリスクのため、依然として低金利下にある日本では注視すべきリスクと言えます。

「長期・積立・分散」投資による資産形成の重要性

銀行預金での貯蓄と積立投資では、準備できる金額に大きな差が生まれる可能性があることを理解しておく必要があります。

日銀のマイナス金利解除により、メガバンクを中心に預金金利を引き上げる動きも見られますが、それでも年0.02%程度に留まります。

仮に、金利0.02%で毎月5万円ずつ、20年間貯蓄した場合でも、元本1200万円に対する利息は約2万4000円(※)しか付きません。さらに、現状では利息から約20%の税金が差し引かれます。

ところが、新NISAを活用した積立投資なら運用益が非課税となり、20年以上といった長期間の積み立てであれば安定した運用成果を得られる可能性があります。

長期投資の運用成果

上の図表からわかるように、積立期間が20年以上であれば、収益率は年2.0~8.0%に収れんしており、最頻値は4.0~6.0%となっています。

20年以上の積立投資で安定した運用成果を期待できるのは、積立期間が長期におよぶほど複利効果が大きくなることと、毎月一定額ずつ積み立てることで購入価格が平均化され、価格変動リスクを抑えられるのが主な理由です。

仮に、年利5.0%で毎月5万円ずつ、20年間積み立てれば、投資元本が1200万円、運用益が約855万円(※)となり、元利合計で約2055万円を準備できる計算です。

あくまでも過去のデータによるものであり、投資にはリスクがあるので必ずしも銀行預金に勝るとは限りませんが、「長期・積立・分散」によって大幅にリスクを抑えることができるのです。

※金融庁「資産運用シミュレーション」にて試算

【新NISA】2つの非課税投資枠と活用法

新しいNISAの概要

つみたて投資枠

つみたて投資枠では、「金融庁の基準を満たした投資信託」を積み立てることができます。「長期・積立・分散」に適した低コストな投資信託に限定されており、手数料が一定水準以上の商品を選んでしまう心配がありません。

年間投資枠は120万円までとなっており、その範囲内であれば複数の商品を積み立てることも可能です。

そもそも投資信託は複数の資産に分散投資する商品であり、積み立てる商品を必要以上に増やす必要はありませんが、限りなくリスクを抑えたい場合は複数の商品を組み合わせるのも1つの方法です。

なお、近年人気となっているのは、米国株式や全世界株式などの「株式」を中心に投資対象としているインデックスファンドとなっています。

どの商品を選べばよいかわからないという人は、人気の商品を選んでおくのが無難かもしれません。

ただし、積立投資は長く続けることが重要なため、途中で売却せずに済むよう、自分のリスク許容度や投資方針に合った「お気に入りの商品」を選ぶことが大切です。

成長投資枠

成長投資枠では、株式やETF、REITなど、幅広い金融商品に一括投資または積立投資することができます。年間投資枠は240万円までとなっており、範囲内であれば投資枠の使い方は自由です。

ただし、1つの銘柄に一括投資するのはリスクが高いので、なるべくリスクを取りたくない人は、少額ずつ複数の銘柄に分散投資しましょう。

または、1つの銘柄の買付タイミングを複数回に分散することで、リスクを抑えることができます。

成長投資枠でも積立投資を行うこともできるので、つみたて投資枠では買えない商品を毎月一定額ずつ積み立てるのもおすすめです。

ワンコインから投資を始めることが可能

日本では金融教育が不足していることもあり、投資に関する正しい知識を持つ方が少ないように思います。

投資の知識を持たないことが恐怖心につながっており、それが理由で最初の1歩を踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。

しかし、投資は決して怖いものではなく、リスク管理を徹底すれば安定した運用益を得ることも可能です。

本記事で解説したように、インフレリスクへの対応や、投資による資産形成の重要性について考えれば、多少のリスクを許容する必要があるのかもしれません。

どうしてもリスクが気になる場合は、ワンコインから投資を始めてみるのはいかがでしょうか。金融機関によっては月100円から投資を始められるので、仮に損失が出たとしても少額に限定されます。

毎月数百円程度であれば家計に与える影響も少ないので、リスクが気になる人でも1歩を踏み出しやすいのではないでしょうか。

参考資料

  • 金融庁「NISA早わかりガイドブック」
  • 金融庁「資産運用シミュレーション」

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