副園長による心理的虐待「感情のコントロールが効かない人」…認定こども園が突然休園へ 保護者と園職員、怒り

鳥取県米子市の認定こども園で、副園長の男性による心理的虐待など不適切な行為が確認され、鳥取県から文書指導が行われました。その後、保護者説明会も開催されましたが、施設は今月いっぱいで休園する見通しであることが分かりました。
施設で何が起きていたのか…保護者や園の職員たちに話を聞くことができました。

「辞める覚悟必要じゃないですか?」
「辞めろなんてあんたに言われる筋合いねえよ。失礼なこと言うなよ」
「保護者に対して"あんた"ってなくないですか」

3月8日、米子市の認定こども園の保護者説明会で録音されたとされるボイスレコーダーの音声。
保護者の質問に声を荒らげるのが、副園長・A氏とみられる男性です。

2月13日、園の職員が園児に対し虐待を行っていると保護者から県に相談があり、県は特別指導監査を実施しました。

県によりますと、副園長の男性が園児たちに対し「自分はこわくないんだ」と大きな声をかけたほか、園に対し意見をしていた保護者の子どもに対し、威嚇するような言葉を発したことを確認したということです。

これらの行為に対し、複数の園児が怖い思いをしたと証言し、登園を嫌がったり大人の男性に対し拒否反応を示す園児もいたことから、県は園児に対する心理的虐待と判断。

5日、園に対し、再発防止策や講じることや保護者から要望のあった説明会を早急に開催することなどを文書指導で求めていました。
その3日後に行われたのが、冒頭の音声が録音された説明会です。

A氏や園長、それに園を経営するA氏の妻らが保護者を集め行われましたが、肝心のA氏は、開始時間から遅れてやってきたといいます。

副園長・A氏とみられる音声
「だって、保護者会って保護者が開けって言ってるんだから、なんか私に聞きたいことなり言いたいことがあるわけでしょ。それをお聞きします」

Qあなた方から言うことはないですか?
「は?」

この時の様子について、保護者は。

保護者
「遅れたのに何事もなかったかのように始まって、悪びれる様子は一切なくて。開けと言われたから開いたみたいな感じだったので、謝りに出てきたわけではないのかなっていう」

「しゃべればしゃべるほど、自分は悪くないって言葉が出てくるので、こっちとしても何を言っても無駄だろうなって」

副園長・A氏とみられる音声
「私だって子ども愛してるんですよ。勘違いしないでくださいよ。保育士のことも愛している。
妻が私どもの夫婦喧嘩を中心に、従業員を巻き込んで私を悪者にしてここから排除しようとした。それがこの1年間に起きていることの全てです。私は被害者だと思ってます」

そんなA氏。あることがきっかけで、保護者との間で「園には立ち入らないこと」と取り決めを交わしていたといいます。

A氏は去年10月に廃止となった米子市内の届け出保育施設の元オーナーで、役職員だった当時、職員に対して性的な言動などセクハラを行ったとして、去年9月に鳥取県から文書指導を受けていました。

A氏はこのとき、BSSの取材に対し、次のように答えていました。

A氏
「俺と結婚しようぜとか、飲んだ席だと思いますが、俺と付き合おうぜみたいなことは、冗談のつもりでしたが、そういう発言をしたのは事実です」

Q体を触るとかは?
「そういうのはないです。フィジカルなことはない」

Qフィジカル的なセクハラもあったという話もありますが?
「いや、記憶にないですね」

A氏は今回文書指導を受けた認定こども園への立ち入りもあったことから、去年9月、園は保護者説明会を開催。そこでA氏と保護者との間で「園に立ち入らないこと」と約束を交わしていました。

しかし…

保護者は
「11月末くらいのある日に、子どもが『きょう(A氏が)来たよ』って帰り道で言ってきて。え!話が違うじゃんってなって」

A氏は去年冬ごろから園に立ち入るようになり、保護者によりますと2月に入って園児への度重なる心理的虐待が確認されたと言います。

保護者
「A氏が来て大きい声を出されて怖かったっていうので、思い出すの怖いからもうこの話やめていい?って子どもから聞かれて」

「声を荒らげて自分を探されたと。怖かったってのがあるんだけど、自分的には悔しかったと。なんで探しているか分からんし」

保護者
「A氏が園に来た時に、誰か来たって?って子どもに聞いたら『鬼が来た』って。鬼ぐらい怖い」

「保育士さんたちはすごい信用してるんですけど、やっぱりちょっとこういうことがあると、もう怖いので、これ以上預けられない」

こうした保護者からの指摘に対し、説明会でA氏は…

副園長・A氏とみられる音声
「子どもたちが庭遊びしているところに行ったら、泥まみれの手で私のスーツ触ってくるから『やめてくれー』って追っ払ったことはありますよ。スーツ泥だらけになるの嫌だから。やめて、触るなーって」
「私が来たら傷つくの?デタラメ言うのもほどほどにしてくださいよ。それって名誉毀損じゃないの?この件は、県の人が悪意に満ち満ちたこんなデタラメ記事書いたからじゃないか」

実際、A氏はどんな様子だったのか。顔や声を出さないという条件で、園の複数の職員に話を聞くことができました。

園の職員
「昔から子どもの前で大声で怒鳴ることがありましたが、2月頃からは異様でした。とにかく感情のコントロールが効かない人で、園に来られる時は目つきが怖く、お酒の匂いがしたこともあり、多くの子どもは怯えている様子でした」

A氏が園で大声を出すようになったきっかけは何だったのでしょうか。

園の職員
「元はと言えば去年3月頃から始まった夫婦間の離婚騒動が発端です。保育園でA氏と妻が園庭で喧嘩をし、警察を呼ぶこともありました。不安な中で園に子どもを預けることにどれだけ心が傷まれたのかと思うと、関係者として保護者の皆様には申し訳がたちません」

取材班は、A氏本人に直接話を聞くべく直撃しました。

Q休園になるって話を聞いて
A氏「ノーコメントです」「お帰り下さい」

Q虐待があったことは事実かどうかと、皆様すごい怖い思いされたって言ってたんですよ
「事実ではありません」

Qすべて事実ではないですか?
「事実ではありません」

Q大声をあげたこともなかった?
「そこには子どもはいなかった」

Q保護者の皆さん許せないと思いますよ
「ノーコメントです」

Q夫婦喧嘩から始まったと聞いていますがその辺は?
「ノーコメントです」

そして、A氏の妻もBSSの取材に対し「何も答えることはない」としました。
8日の説明会では園の今後について保護者から聞かれた際、このように話していました。

A氏の妻とみられる音声
「安心して安全な場所を取り戻し、ご要望があるのならば、子どもたちのために保育は続けて、園はこれからも継続してやっていきたいと思う」

しかしその後、職員が大量に退職するなどし、3月末で休園することになったといいます。

全ての園児の転園は何とか決まったということですが、保護者に正式に休園の連絡があったのは先週金曜で、あまりに遅すぎる園の対応に保護者は憤慨しています。

保護者
「閉園が決まった3月は、3月11日に選考は終わっていたので、間に合わないですよね4月1日の入園に。本当に時間がない。
3月は年度末で仕事も忙しい。この保育園に空きがない時期にすごく困りました」

一方、A氏は、園の今後について…

副園長・A氏とみられる音声
「私個人の考えで言えば、この園は続かないと思います。保育士確保がもう無理だと思います。
私の希望はA型就労支援事業所に…何がおかしいんだよ、何がおかしいんだよ。もしくはグループホーム」

Qもう違うことを考えられている?
「はい」

保護者が思うこととは…

保護者
「もう自分は次のビジネスのこと考えているって保護者の前で堂々と言われたので、もう終わっとるなという感覚しかなくて」

「いわゆるちょっと立場の弱い方をターゲットに事業を起こすって考えをどうにかしてほしいし、県や市には起こせないように動いてほしい」

「結局の核心が夫婦喧嘩から始まってそれを園に持ち込み子どもを怖がらせたことは、そもそもが違う」

「市と県が認可しているところは正直信頼できない。なのに子育て王国とか言っていることに本当に腹が立つ。本当に悔しい」

この園では今週金曜日がお別れ会。そして、翌日土曜日に卒園式が行われる予定です。

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