「NBAでプレーすることに集中すべき」名手ペイトンが悩めるシモンズに助言「やるべきことをやれば大丈夫だ」<DUNKSHOOT>

2016年のドラフト1位でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに指名されたベン・シモンズ。1年目は右足の負傷で全休したが、1年遅れでデビューした2017-18シーズンに平均15.8点、8.1リバウンド、8.2アシストを残して新人王に輝き、19~21年にはオールスターに出場するなど、ジョエル・エンビードと並ぶチームの看板選手として活躍してきた。

しかし、新人時代から指摘されていたシュート力不足は解消されず、21年のプレーオフでA級戦犯になると、同年オフにチームにトレードを要求。22年2月のブルックリン・ネッツ加入後は背中や腰のケガ、メンタルヘルスの問題で長期離脱を強いられ、リーグ内での評価は急落した。

加入3年目の今季は15試合で平均6.1点、7.9リバウンド、5.7アシストにとどまり、3月7日には腰の負傷に対処するため、残り試合を欠場することが発表された。

現役時代、攻撃的なディフェンスで次々と相手のボールを奪い、“ザ・グローブ”の異名を取った殿堂入り選手のゲイリー・ペイトンは、NBAファン向けのイベント『Block Party』でオーストラリアを訪れた際に、同国のスター選手であるシモンズについて言及した。

「ベンがしなければならないのは、健康になることだ。NBAでプレーできる能力と才能に疑問の余地はないから、完全に健康になるまで復帰すべきではない。彼はやるべきことに取り組む必要がある」
昨夏のワールドカップでオーストラリアは10位に終わったものの、オセアニア枠でパリ五輪の出場権を手にしている。故障離脱中のシモンズが今夏にオーストラリア代表でプレーするかは未定だが、代表HC(ヘッドコーチ)のブライアン・ゴージャンHCは、シモンズがケガをする前からパリ五輪に向けて準備を進めていたことを明らかにした。

もっとも、ペイトンはシモンズが奇跡的な復帰を果たしたとしても、NBAでのキャリアを立て直すためにパリ五輪でプレーすべきではないと語った。

「ベンはNBAのキャリアでフルシーズンプレーすることができていない。彼の仕事はNBAでプレーすることで、そのことに集中すべきなんだ。彼にはまだ時間が残っている。 数回オリンピックがやってくるだろうから、別の機会にすればいい」

シモンズは今年7月に28歳を迎える。ネッツとの契約は残り1年で25年オフに完全FA(フリーエージェント)になるため、来季もケガで満足に試合に出場できなければ、NBAでの居場所を失う可能性もある。

最後にペイトンは「批評家のことは忘れて、ただバスケットボールをして、やるべきことをやれば彼は大丈夫だ。復帰してこのリーグでプレーできることを示し(ドラフト)1位指名された選手であることを証明できれば、大丈夫だと思う」と大型司令塔にメッセージを送った。

構成●ダンクシュート編集部

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