日銀・田村審議委員「賃上げ好循環 地方でも」 青森県金融経済懇談会に出席

記者会見する日銀の田村直樹審議委員=27日午後、青森市

 日本銀行政策委員会の田村直樹審議委員が27日、青森市のホテル青森で開かれた県金融経済懇談会に出席した。終了後に会見した田村委員は、中小企業で「賃上げできるようなビジネスを構築する動きがどんどん出ている」との所感を述べた。マイナス金利解除後も当面は緩和的な金融環境が継続するとして、賃金と物価の好循環は地方でも継続できるとの見解を示した。

 中小企業の賃上げ環境について田村委員は、人手不足や労働市場の流動性の高まりを背景に、人材確保のため賃上げを迫られている状況だと指摘。「企業にとって、賃上げができる・できないではなく、賃上げできるビジネスをどうつくるかが求められている」と強調した。

 マイナス金利解除を含む金融政策の見直し後も、当面は「あまり大きな金利上昇が見込めるわけではない」との見方を示し、地方経済への影響については「現在起こりかけている好循環に水を差すものではない」と述べた。

 同日の懇談会では、原資不足に伴う賃上げの難しさや、持続的な賃上げに向けた価格転嫁の必要性を訴える声が上がったという。県内景気の改善が続くためには「所得の増加により個人消費が増加する好循環が生じる必要がある。今春の春闘で、高めの賃上げの実現が非常に重要」と語った。

 2025年1月1日の青森銀行、みちのく銀行合併について問われた田村委員は、「一般論」として「地域金融機関の収益力は長らく低下が続いてきたが、近年は経営基盤の強化に一定の進展がみられる」と評価。両行の合併については「金融仲介力が強化され、将来にわたって地域経済を支えていくことを期待する」と話した。

 懇談会は非公開で、県内の行政や金融、経済団体の代表者ら10人が出席した。

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