マイナス金利政策解除~金利の引き上げの影響が町工場に及ぼす影響は

マイナス金利政策の解除で大きな転換点を迎えた日本経済。金利の引き上げはどのような影響を及ぼすことになるのか。焼津市にある町工場を取材しました。

日本銀行 植田和男総裁 19日
「マイナス金利政策といった大規模な金融緩和政策、緩和はその役割を果たしたと考えています」

2016年から続けてきたマイナス金利政策などの大規模な金融緩和の解除を発表した日本銀行の植田和男総裁。

実に17年ぶりとなる金利の引き上げによって、私たちの生活にも影響するかもしれない動きが続々と本格化してきています。

三菱UFJ銀行は21日から普通預金の金利を現在の年0.001%から20倍の年0.02%に引き上げています。

また、三井住友信託銀行もきょうから、普通預金の金利を年0.02%に引き上げました。

この他にも、りそな銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が4月1日からの金利の引き上げを発表していて、これによって大手5行全てが金利を引き上げることになりました。

そんな中、静岡県内でも・・・

静岡銀行リリースより(3月21日発表)
「静岡銀行では、日本銀行の金融政策の変更に伴う市場環境等の変化を踏ま え、「円普通預金」の金利引き上げを決定しましたので、お知らせいたします。」

メガバンク同様に4月1日からの金利の引き上げを発表した静岡銀行。

県内では他にも、清水銀行・静岡中央が4月1日から、スルガ銀行は今日から普通預金の金利を年0.02%としています。

マイナス金利政策の解除によって上昇することになる普通預金の金利。

預金している人にとっては、
わずかながらでもうれしい動きのようにも見えますが、そのいっぽうで影響を受ける恐れがある人たちもいます。

関原製作所 豊島正幸工場長 焼津市 22日
「やはり不安な部分は当然あります。運転資金や設備投資などの金利がどれぐらい将来的に上がってくるかは、かなり気にしている。」

番組が訪ねたのは、
焼津市にある金属加工会社「関原製作所」。

従業員数7人の小さな町工場です。

関原製作所 豊島正幸工場長
「これが去年12月に新しく導入した機械です。自動車などを生産するための機械の部品を作っているものです」

こちらの工場では去年末、設備の老朽化に伴い新たな機械を導入しました。

その際に銀行から借り入れた額はおよそ1000万円。

金利の上昇は返済額に直結することから町工場にとっては大きな痛手になるといいます。

関原製作所 豊島正幸工場長
「去年はマイナス金利だったが、これから金利が上昇すると払いの部分がどれぐらい変わっていくかというのが不安な部分。老朽化している機械もあるので今後数年の間には1000万円~2000万円くらいの機械だけでも投資をしていかなければいけないのでそういう時にはまた借り入れしなければいけないんじゃないかなと考えている」

帝国データバンクが、全国の借入金があるおよそ9万社を対象に試算したところ「借入金利が1%上昇すると、企業の7%が赤字に転落する」という結果が出ています。

原材料費や電気代の高騰、さらには金利の上昇など
厳しい状況が続く、中小企業ですが、価格転嫁にはなかなか踏み込めないのが現状だといいます。

関原製作所 豊島正幸工場長
「3社4社という相見積もりが生まれてくるので、見積もりを出してもなかなか取れる金額でなくなってくると、どこの会社もそれなりの、ギリギリの線を狙って見積もりを出してくるものなのでなかなか価格転嫁が難しい。」

様々な要因が積み重なり、先行きが不透明な状況ですが、豊島工場長は今後、設備投資の他に土地の購入や新たな工場の建設を考えているといい、従業員の生活を守るためにも事業の拡大を図っていきたいとしています。

関原製作所 豊島正幸工場長
「今まであまりにも金利が安かったので、それに体が慣れてしまった。そこを考え方として変えて、それを言ったところでどうすることもできないので、それはそれなりに自分たちが一生懸命営業して仕事を取ってくることは考えている」

© 静岡朝日テレビ