バス運転手の2024年問題 便数維持出来ず群馬県内で今春4路線が廃止 事業者の対応は

バスの運転手の労働時間の規制が強化されるいわゆる「2024年問題」によって来月、県内の4路線が現状の便数を維持できないとして廃止となることが群馬テレビのまとめで分かりました。県内のバス事業者は、利用者への影響を最小限にしようと苦心しています。

群馬テレビでは、県内の主な乗合バス事業者12社を対象にアンケート調査を行いました。その結果によりますと、今月から来月にかけて9社がダイヤ改正を行い、このうち群馬中央バスと日本中央バスのご覧の4路線が現状の便数を維持できないとして廃止となることが分かりました。

アンケートの中で群馬中央バスは、「運転手の数が現状の1.2倍から1.3倍必要となり確保が難しい」日本中央バスは「貸切や高速バスなど全体で運営しているもののコロナの影響で厳しい状況が続いている」としています。

地域交通政策が専門の前橋工科大学の吉田樹特任准教授は、県内のダイヤ改正について次のように分析します。

「全国的な動向から見ると、減った割合はまだ少なく済んでいる(群馬県内は)自治体からの委託路線(自治体が運行委託し補助金で維持)も少なくなく、バス事業者と行政の間で調整が成り立ちやすい環境にあったため、減便が最低限度でいる」(前橋工科大学・吉田樹特任准教授)

今回のダイヤ改正による便数の変化を県内12社全体で見てみると、改正前と比べ22便マイナスと全体の1%未満の減少に留まりました。一方で、さらなる運転手不足など2024年問題の影響については、3分の2にあたる8社が「影響を受けている」と回答しています。

バス事業者はどのように対応したのか、2社を取材しました。まずは渋川市に本社を置く関越交通です。中北毛をエリアに県内最大の44路線・894便を運行しています。今回の改正では11便をやむなく減らしますが、前橋駅と渋川駅を結ぶ路線など比較的利用者が多い路線は本数を維持しました。

関越交通は、夏のシーズン、尾瀬を結ぶ季節限定の路線バスや高速バスを毎年運行しています。しかし、現状の人繰りで限界を迎えていることから、利益率の高い貸切バスの数を減らして運転手を充てるといった臨時的な対応を取る可能性もあるとしています。

続いて、前橋市の永井運輸です。前橋市を中心に7路線・219便を運行しています。今回の改正では、利用者の状況を見て一部の路線の便数を減らした一方で、利用者が伸びている路線は増やしたため、全体で見れば改正前より増便となりました。

小又常務は他社とともに合同企業説明会を開き、今回の規制強化で長時間労働の改善に繋がることをPRし、運転手の確保につなげたいとしています。

各社、なんとか工夫をしてこの春のダイヤ改正を乗り越えたのが実情です。また、今回のバスの2024年問題、事業者、自治体、県民はそれぞれどう向き合うべきか、前橋工科大学の吉田特任准教授に聞きました。

まずは事業者です。①運転手が働きやすい環境整備と賃上げ②バス事業者合同で説明会・体験会開く

自治体は、①10数年前と違って、路線バスを担える事業者がいない状況。補助ではなく必要な交通サービスを購入する発想で路線を維持すべき②急な運転手不足も他県ではあるとしてこうした事態に備えて維持路線の優先順位をつけておく

そして県民、①路線を維持するためにもバスを利用して支える②車内での仕事量が多い運転手に対してちょっとした気配りをそれだけでも運転手の心理的負担は軽減されると思います。

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