春に山菜を食べるのは「合理的」だった!旬の味覚で体を内側から動かそう:野菜ソムリエ解説

春本番が近づくとともに、街中のスーパーでも様々な山菜が並ぶようになります。

山菜には他の野菜とは違った、独特の苦味がありますよね。
じつはその苦味には、春の食事にぴったりな“合理的な理由”があるんです!

今回は、野菜ソムリエ・気象予報士・防災士の資格を持つ植松愛実さんが、春に山菜をおすすめする理由を解説します。

「食べられないための工夫」が「ちょっと食べると最適」に

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山菜は冬から春に移り変わる時期、最初に土の中から出てくる柔らかい植物なので、必然的に動物たちに食べられやすくなってしまいます。
そこで、動物たちに食べられすぎないように獲得されたのが、あの独特の苦味であると考えられているのです。

そしてこの苦味は、少量であれば、食べる側にもメリットがあります。

春の体を動かしてととのえる

冬の間は体の新陳代謝が落ちてしまい、内臓の働きが鈍くなって消化・吸収が悪くなりがちですが、山菜に含まれる苦味成分のなかには胃腸の働きを活発にしてくれるものがあります。

また、滋養強壮やデトックス、さらには精神的なストレスの緩和に働く成分もあり、まさに春に体が必要としている食材ということになりますね。

こういった効果のある成分は、じつは食べ過ぎるとお腹を壊してしまうという欠点も。
ただ、そもそも苦いので大量に食べることはできず、自然と適切な量だけ食べることになるのです。
うまいことできていますね!

約300種!気軽に食べられる山菜

山菜の王様とも呼ばれる「タラの芽」。

日本では北から南まで、様々な山菜が自生したり栽培されたりしています。
その数は300種に及ぶとも言われていて、見た目も味も香りもまさに千差万別です。

中にはアク抜きせずに食べられるものもあったり、生で食べられるものも。
たとえば「ふきのとう」や「タラの芽」は、天ぷらのような高温料理であればアク抜き不要です。

さらに「ウド」は加熱してももちろんおいしいですが、生でサラダやピクルスにすることもできて、初めての人でも調理しやすくおすすめです。

「春の皿には苦味を盛れ」

アク抜き不要な山菜「こごみ」。さっと茹でてマヨネーズをつけるだけで最高においしい。

昔から「春の皿には苦味を盛れ」という言葉があり、山菜の効果が科学的にわかっていなかった時代から、春に山菜を食べることの合理性に日本人は気づいていたようです。

他の生き物とうまく折り合いをつけるために獲得した能力として残る、山菜独特の苦味。
気温や天気の変化が大きくなって体調を崩しやすい季節、旬の山菜を取り入れて元気に乗り切りましょう。

■執筆/植松愛実…身近な食材でできる時短作り置き料理やパーティー料理、簡単に彩りを増やせる料理のコツや、いざという時に備える災害食まで、「食」に関する情報を発信。また、東北や東海、関西にも住んだ経験から、各地の伝統的な食材にも詳しい。野菜ソムリエ、食育インストラクター、気象予報士など保有資格多数。
編集/サンキュ!編集部

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