金正恩をヘナヘナにした「14歳少女」らの禁断の行為

韓国のハンハナロ研究所が先月22日に開催したシンポジウムでは、脱北者150人を対象にした市民社会に関する調査結果が発表された。それによると、過半数が「政府が禁止した集まりに参加した経験がある」と回答した。集まりの内容は、韓国ドラマや音楽の視聴や「政治についての話」といったものもある。

デイリーNKの内部情報筋からも、こうした秘密会合に関する情報が数多く寄せられている。そして、そこには一般大衆だけでなく、特権層に属する人々も参加している。

何しろ北朝鮮当局は2年前の6月、主に政治犯を収容していた平壌郊外の8号教化所(刑務所)を、わざわざ特権層専用の75号鍛錬隊(軽犯罪刑務所)に改編しているほどなのだ。専用の刑務所が設置された事実は、それほど摘発される人が多いことを物語っている。

もっとも一般大衆の場合、高校生までが「韓流を流布した」というだけで銃殺されたと言われているのと比べると、特権層への処罰はやはり甘い。

たとえば2年ほど前、集団で南朝鮮(韓国)のミュージックビデオを回し見していた市内の14歳の少女ら10人が、安全部(警察)に逮捕されたことがあった。

デイリーNKジャパン編集部が韓国情報機関の元高位関係者から得た情報によれば、平壌の船橋・楽浪区域安全部に逮捕された少年少女はいずれも、金正恩の「最側近クラス」である朝鮮労働党と朝鮮人民軍幹部の孫たちだったという。

本来なら、安全部の捜査対象になるはずもない少年少女である。それが逮捕され勾留までされてしまったのは、韓流撲滅がまったく上手くいかないことに業を煮やした金正恩氏が、「聖域なき取り締まり」を重ねて強調し、摘発に関わる権力機関を相互にけん制させたからかもしれない。

だが、少女らは何の処罰も受けないまま釈放されたという。

さすがの金正恩氏も複数の側近たちからの助命嘆願にヘナヘナとなり、釈放を命じずにいられなかったということだ。

こうした事実は、いずれ北朝鮮の特権層は、幼いころから「禁断の集まり」を繰り返し、韓流に染まり切った人々で占められることを暗示している。果たしてそのような時代になってもまだ、北朝鮮は外国文化を否定し、極端な取り締まりを続けていられるのだろうか。

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