氷見に届いた「満開の桜」 夏は地元で優勝を

優勝を決めて盛り上がる保護者や女子選手=福島市の福島県営あづま総合体育館

  ●福島へ感謝忘れず

 能登半島地震で大きな被害を受けた氷見に「満開の桜」が届けられた。第19回春の全国中学生ハンドボール選手権で、本来の開催地である氷見市で被災した西條中が震災を乗り越え、男子の頂点に立った。大会に臨んだ選手たちは代替開催を受け入れた福島に感謝を込めるとともに、今夏は地元で活躍をみせ、再び優勝すると誓った。

 「心の桜は満開。いや、もうヒマワリも咲いています」。表彰式後、井上拓己主将(2年)は会心の笑顔で大会を振り返った。

 氷見西條の男子には、小学生時代の2021年夏に全国2位に輝いたHC宮田のメンバーが多く、全国制覇は悲願だった。

 新型コロナに翻弄(ほんろう)され、今年は震災に見舞われた。1月中旬まで練習ができず、遠征や冬季大会も中止となった。焦りもあったが、メンバーはぶれずに練習に励んできた。

 大嶋賢監督は「試合で起こりうるさまざまな状況を想定して練習してきた」と力を込める。決勝の開始早々、0―5と突き離されても、選手には追いつく強さがあった。後半に好セーブを連発してチームを救ったGK戸圓(とうえん)拓空選手(2年)は「みんな最初はガチガチだったけど、大丈夫だと思っていた。仲間の頑張りで自分も頑張れた」と声を弾ませた。

 終盤に次々とシュートを決めた橋本朱右(しゅう)選手(2年)は「みんなの『大丈夫』の声に気が楽になった」と笑顔いっぱい。エースの大浦智也選手(同)も「氷見に元気を出してもらいたい」と願った。

 氷見に一足早い「満開の桜」を届けた男子の視線は、今夏に地元で開催される全中に向けられている。2冠を達成し、再び復興の力となるため成長を誓う。

 会場では保護者や女子選手、HC宮田の選手ら約50人が声援を送った。井上主将の母純子さん(50)は「春中ハンドは氷見の一大イベント。この優勝は大きな励みになる」とたたえた。光安淳子校長(60)は役職定年の年に大きな贈り物をもらい「最高の思い出になった」と語った。

後半に14点目のシュートを決める井上選手

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