「どうして彼を信じられる?」大谷翔平の潔白声明にも地元有力紙の名物記者は“大きな疑念”を抱く。「詳細とともに何者かが明らかになる」

現地3月25日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平と元通訳・水原一平氏を巡る違法賭博スキャンダルについて、大谷本人が事件発覚後初めて声明を発表した。

日米で大々的に報じられるなか、大谷は質疑応答なしという異例の会見で想いを打ち明けた。「信頼していた方だったので悲しくてショック」「彼(水原氏)はみんなに嘘をついていた」「僕自身は賭けていないし送金もしていない」「彼が僕の口座からお金を盗んだ」「ホテルで(水原氏と)ふたりで話して嘘をついているなと気づいた」など、メモを参照しながらおよそ11分間に渡って、多くの注目すべきコメントを発したのだ。

とはいえ、米メディアの間では疑念がくすぶる。「水原氏はいかにして大谷の口座から送金したのか?」「大谷はなぜそれだけの大金が盗まれていることに気づかなかったのか」など、説明が不十分な箇所に首を傾げた。

今回の騒動を初期段階から取材してきた地元有力紙『Los Angels Times』紙のコラムニストであるディラン・ヘルナンデス氏も、大谷の会見発言にはすっきりしていないようだ。巨額送金に関する問題点に言及しつつ、「大きな疑念。ショウヘイ・オオタニとは何者なのか?」と問いかける。

「オオタニはこれまでジャーナリストだけでなく、フィールドで共に戦うチームメイトたちとも距離を置いてきた。プライベートに関してはほとんど知られていない。もちろんどこまで明かすかは本人の選択だが、こうしたアプローチにはやはりマイナス面があるだろう。オオタニとはいったい誰なのか。それが分からないなかで、誰がどうして彼の言うことをなんらかの確信を持って信じられるだろうか」
そしてヘルナンデス氏は「今回の混乱した状況下にあって、彼の性格はほとんど知られていない。結局はそれが、スキャンダルの本質を見抜くファクターにはなっていないのだ」と指摘し、「さまざまな詳細が分かってくれば、いずれ本当の彼も明らかになるのだろう」と続けた。

現地木曜日、いよいよドジャースのMLB公式戦が再開される。目下13打席連続ノーヒットで事件発覚以降は打率.091と元気がないが、セントルイス・カーディナルスとの4連戦では不安を一掃するハイパフォーマンスに期待したいところだ。

構成●THE DIGEST編集部

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