「ギャンブル依存症と嘘はセット」水原一平氏の大谷翔平への虚言・詐欺疑惑。精神科医が傾向や問題点、家族への影響を語る

家族も「見えない敵」と戦っている。人気のユーチューブチャンネルで、益田裕介氏が詳しく解説。

アメリカ・メジャーリーグベースボール(MLB)ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平の口座から違法とされるブックメーカーの胴元に約7億円と言われる多額の振り込みがあり、それを実行していたとされる大谷の元通訳・水原一平氏がチームを解雇された問題で、大谷が3月25日に記者会見を実施し、疑惑を全面的に否定した。この問題の概要を大谷が初めて把握したとされる韓国での3月20日夜、水原氏はチームメイトの前で「ギャンブル依存症である」と告白したという。

また『ESPN』によると、胴元の弁護士が米国メディアの取材に応じた際、水原氏について「衝動的(病的)なギャンブラー」と表現していた(しかし振り込み額については答えなかった)。

この問題を受けて、テレビなどにも出演し、ユーチューブ『精神科医がこころの病気を解説するCh』が登録者数56万人を超える早稲田メンタルクリニックの益田裕介院長 が、同チャンネルで「送金完全否定の大谷選手。ギャンブル依存と家族の嘘を解説します」と題した動画をアップした。

自身が診察したことのない公人について精神科医が語るのを基本的に禁止するアメリカ精神医学会倫理規定の通称ゴールドウォータールールに則り、「ギャンブル依存症」の一般的な問題点を「教科書的」に分かりやすく解説。その家族への影響、依存症の人との関わり方について、一般的な考察を提示している。

益田氏は「依存症治療は嘘との戦いと言っても過言ではない」と強調。そしてギャンブルやアルコールの依存症など精神疾患を持つ人の家族の「一般論」として、「見えない敵と戦っている」とも語った。今回、大谷というスター選手が事件の渦中にいたわけだが、一般の事例では、依存症の人の身近にいる家族や親戚が嘘からの金銭トラブルなどに巻き込まれ「賛否を招くことは多い」ということだ。

そのうえで、ギャンブル依存症と嘘をつくこと(金銭を作るため)は「セットになっている」と説明している。ギャンブル依存症の大きな問題は「借金」だと捉えられるが、それを招く「ギャンブル依存=嘘をつく」ということが、この社会的な問題の根本にあると指摘していた。

また、その家族は依存にある人物を過保護に守ろうとして、依存を助長してしまうという。最初は疑問を抱きつつも、そこから気付かぬうちに負のスパイラルで、深い部分に入り込み、秘密の共有や“無意識の否認”で嘘が増えていく。気付けば何が嘘か本当か自分でも分からなくなっていくということもある。

そして依存症の人のみならず家族なども、「見えない敵」と戦うことになる。周囲からの「一般常識」、「当たり前の概念」を突き付けられてしまうと、よけいに苦しくなる(そこに戻ろうともがくと、逆に負に陥る)という。

関連記事>>粗品の予想的中「大谷翔平を庇ったのではなく、水原さんが普通にギャンブルしただけちゃうか…」

決して他人事ではない。多くの人が様々な依存症(社会生活に大きな問題が生じるほどの依存傾向)に陥る可能性はあり、その家族や知人になることもあり得る。益田氏はそうした依存症に陥るプロセスや「家族も苦しんでいること」への理解を深めることの大切さ強調している。

© SAKANOWA株式会社