60歳 文筆家 青木美詠子さんの暮らし「生活の中の小さな喜びを見つけて、人に手渡していきたい」

日々を明るく照らしてくれる小さな楽しみや、心を潤すための暮らしの工夫は、幸せを感じさせてくれます。そんな暮らしを営み、わたしらしく、今を生きる女性を紹介する『60代からの小さくて明るい暮らし』(主婦の友社)から、文筆家の青木美詠子さんを2回にわたって掲載します。

PROFILE
文筆家・コピーライター
青木美詠子さん(60歳)
東京都在住
夫婦ふたり暮らし
山口県出身、1963年生まれ。「あおきみさん」の愛称で知られ、「冷えとり」にまつわる著作も多数。自宅でも整理収納セミナーや冷えとりお話会を不定期で開催。近著は『あおきみさんち、家を買う』。(マイナビ出版)。

「ずぼら」だから続けられる小さな工夫をあちらこちらに

「わたし、ずぼらなんです」
そう話す青木美詠子さんのご自宅は、驚くほどすっきりと片づいています。

「細かいことや、手のかかることはあまり続けられません。整理や収納は、きれいな家に住むためというよりも、掃除や片づけの手間を楽にしたいから。そのための“しくみ”を考えるのは楽しいし、やりがいがあります」

青木さんはこれまでに、「冷えとり健康法」をはじめ、「ずぼら」でもできる等身大の体験談や暮らしの工夫を多数、発信してきました。現在60歳、「感覚は30〜40代の頃と変わらない」と笑いながらも、先のことを考える時間が少しずつ増えてきました。

「結婚して24年。うちは夫とふたりなので、この先も一緒に、元気に普通の生活を送っていきたいと思っています」

普通の生活。趣味のスポーツ観戦、ときには1泊で小さな旅に出るというような、なんでもない日常のこと。なかでも、一番大切にしていくと決めているのが、毎日の食事です。

「夫が添加物や化学調味料が体質に合わないので、ほとんど外食もしないし、お惣菜を買うこともめったにありません。毎食、ほぼ手づくりです。だから手が込んだ料理ばかりもつくっていられないんです。でも、やっぱりおいしいものは食べたいので、ずぼらなわたしでも続けられる方法で。食は健康に直結しますし、人生の最後はやっぱり元気な体があってこそです」

たとえば、和食に欠かせないだし汁は大鍋でまとめて。今は、しいたけと昆布が定番です。そこから日々のみそ汁や煮物、鍋料理などに使い、減ってきたら水を注ぎ足し、また火にかけます。何度か繰り返したら、しいたけは筑前煮用に冷凍保存し、昆布は任務完了、お役御免です。

「だしがらをふりかけや佃煮にしていましたが、それがどんどんたまってしまい、行き着いた方法です。家で食べる日常の料理なら、このだしでじゅうぶん。正式なやり方にこだわるよりも、おいしいと思える範囲で、楽に続けられるのが一番です」

こんなふうに、青木さんは気楽に、機嫌よく続ける方法を模索しながら、自分たちらしい暮らしをつくってきました。

日々を暮らす、小さな楽しみ

自転車に乗って小さな非日常へ、ささやかなリフレッシュ

地元の大きな公園や河川敷まで、自転車で出かけます。芝生に座ってのんびりしたり、夫とおしゃべりしたり、少年野球を眺めたり。近くのパン屋で好きなパンを買い、外で食べて帰ってくるだけでも、気持ちがリフレッシュできるんです。

「小さなボサボサ庭」を家のあちこちに招き入れる

庭はいろいろ試すうちに丈夫でお世話いらずのグリーンだけが残りました。ダイニングからカーテン越しに見える葉のシルエットにも癒されます。あまり手をかけすぎず、剪定はときどき自己流で。「ボサボサ庭」と名づけて無理なく楽しんでいます。

常緑樹のユーカリやオリーブは、カジュアルなリースに仕立て、少しずつドライになる変化も楽しみます。
庭のグリーンを小さく生けるだけで部屋がいきいきと。
夫婦で熱く夢中になれるプロ野球観戦で頭も心もすっきり

夫婦そろってスポーツ観戦好き。特にプロ野球のオリックス・バファローズファンです。ときどきは1泊で遠征も。昨年はオリックスのふるさと、神戸の球場まで足をのばしました。最近は球団グッズもユニークなものが増えていて、それも楽しいんです。

「こんなものがあったらいいな」は、まず自分で手を動かしてつくってみる

洋服やバッグ、エプロンなど、欲しい形が決まっているのに見つからないときには、自分でつくってみます。型紙をとるような本格的なものではなく、手持ちのアイテムや布の上に置いて布を裁ち、直線縫いだけで仕上げる自己流ハンドメイドです。

以前使っていたエプロンが使いやすかったので、それをもとに、さらに自分好みにアレンジ。太めのひもと首にかけない仕様は肩や首が凝らないように。さらにひもを結ばずかぶるだけのデザインなので気軽に着脱できます。
大きなポケットで大容量のトートが欲しくてつくったもの。革製のバッグは素敵だけれど重いので、持ち手にだけ革のはぎれをアクセントに使いました。
友だちに教わりながら、最近始めた編み物。ウール100%で日常使いしやすい靴下が見つからず、それならと自分で編んでみることに。お金があまりかからない老後の趣味としても注目しています。

写真/清永洋

※この記事は『60代からの小さくて明るい暮らし』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。


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