人口減少の中、持続可能なまちづくりは 「都会の物求めるより地元の良さ発見を」京都橘大学教授が講演

人口減少の課題に取り組んだ自治体の成功事例を紹介する岡田教授(南丹市八木町・府口丹波勤労者福祉会館)

 京都府南丹市八木町の文化と歴史を学ぶ団体「八木町市民フォーラムの会」が同町の府口丹波勤労者福祉会館で、人口減少問題と持続可能なまちづくりをテーマに講演会を開いた。京都橘大の岡田知弘教授(地域経済学)が、住民らに「地域のつながりに根ざしたまちづくりの必要性」を説いた。

 岡田教授は、2015年から20年の人口増減率のデータで、東京都が4%増と突出して多いことを提示。国が大都市への一極集中を緩和させる施策を取ってきたにもかかわらず、地方の人口減が変わっていない現状を説明した。

 その上で、地元企業で作られた物を消費したり、高齢者に年金を地元で使ってもらえるようにしたりする工夫が、大都市への利益誘導や若者の流出を止めることにつながるとした。旅館などが地元食材を積極的に利用する大分県の由布院などの例を挙げ「都会にある物を求めるのではなく、地元の良さを発見して消費する」ことの大事さを訴えた。

 10日の講演会には約70人が参加。同町八木の八木幸雄さん(92)は「具体的な事例があって分かりやすかった。八木も人が少なくなっているので、取り入れられることはやってほしい」と願った。

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