DC開幕間近、大分県の魅力全開へ準備大詰め アートにグルメ、自然…【大分県】

デスティネーションキャンペーンに向け、焼き芋が作れる改造車といったユニークなアート作品が市街地に登場している=大分市中央町のガレリア竹町ドーム広場
市町村の主なイベントと県の目玉企画のアートイベント

 大分、福岡への誘客を図る「デスティネーションキャンペーン(DC)」の開幕まで1週間を切った。JRグループと自治体が連携する国内最大規模の観光宣伝事業を生かすため、大分県などでつくる実行委員会はアートにグルメ、自然といった魅力を積極的に発信する計画だ。観光関係者らは「県内外の客に大分の良さを再発見してほしい」と特別イベントの準備や受け入れ態勢づくりを進める。

 大分市中央町のガレリア竹町ドーム広場には3月半ばから、ネオンきらめく派手な車が現れている。現代アートのユニット「Yotta(ヨタ)」が手がけた作品「金時(きんとき)」だ。期間中は常時展示し、イベント時には焼き芋を作ることもできる改造車だ。隣にはポン菓子を製造できる車もある。見慣れない光景に、道行く人たちは興味津々だった。

 大分県はこうしたアートイベントをDCの目玉企画に据えている。Yottaをはじめ、国際的に活躍する芸術家が県内各地に滞在して、さまざまな作品を披露する。

 企画を担当するヤマイデ・アート・オフィスの山出淳也代表取締役(53)は「アーティストは地域の資源から着想を得て作品を制作する。大分に来ないと体験できないことを提供したい」と狙いを語る。

 海の幸、山の幸、美酒―。観光にグルメは欠かせない。日出町は国指定重要文化財の「的山荘」で懐石料理を味わい、ガイドと城下町を散策するツアーを新たに用意した。DCに向け、1年間かけてガイドを5人増やした。ひじ町ツーリズム協会は「歴史を深く知ることで、一過性ではなく地域のファンになってもらえる」と期待を込める。

 宇佐市は市内周遊のバスツアーを拡充し、安心院葡萄酒(ぶどうしゅ)工房でコース料理とワインを味わうルートを新たに設けた。地方は自家用車での移動が主流だが、県外の観光客が気軽に訪れやすいように魅力的なバスツアーの開発に力を入れる。

 豊かな自然も重要な観光資源だ。佐伯市の「九州オルレさいき・大入島コース」では、景観を楽しむトレッキングと海鮮料理を組み合わせた催しを企画。秋から春の定番イベントを、DC期間の夏季に初めて実施する。「島の雰囲気と人の温かさを伝えたい」と同市観光課。

 4月6日には大分駅での開幕イベントを控える。県DC実行委員会は「地域の魅力を観光資源として磨き上げるいい機会になる。おもてなしを研究し、課題解決を探ることで大分の観光振興につなげたい」と述べた。

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