飛距離のポテンシャルを高めるハンマー投げのイメージとは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

飛距離のポテンシャルを高める方法①

出力をさらに高めるにはハンマー投げのイメージ

全身を使って目標方向に力を向ける

飛距離を伸ばすにはどうすればいいのか。チャプター1で説明したクラブの動きを理解し、チャプター2からチャプター9で説明した体の動きを参考にしながら自分に合うスイングをつくり上げる、というのが答えです。「それは普通のスイングでは?」と思うかもしれませんが、この本で追い求めてきた理想のスイングは、再現性を高くし、正確性を高めるだけでなく、エネルギー効率もいいので、飛距離性能も高い。決して「飛距離を犠牲にして、安定感を高める」というものではないのです。理想的なクラブの動きをつくるために、使える動きはどれでも使っていいと説明してきました。使える力はすべて使っていいのですから、最大限の飛距離を出すための近道でもあると理解しやすいのではないでしょうか。

ハンマー投げを思い描いてください。重いものを振り回すことで遠くまで飛ばすイメージが、飛ばしのときにはふさわしいと思います。全身の力を使って回転スピードを上げ、大きな遠心力をつくるイメージです。そのイメージをそのままスイングに変換すれば、両肩と両腕の三角形をキープし、体の回転でスピードを上げます。手首自体はほとんど動いていませんが、手首の筋肉は最大限に使って、クラブが遅れないように保持しています。もちろん、全身の力も使いきるほど使います。使える力は全部使ってインパクトの力を強くする、ボールに当たるヘッドのエネルギーを最大にし、すべての力をまとめてボールにぶつけるのです。

その際、大切なポイントは、目標の方向に向かって全身の力を出す意識を持つこと。ボールに向かって力を出す意識とはちょっと違います。 普段、「曲げないスイング、ミスを減らすスイング」を意識していると、体の力を最大限使うことがなくなりがちです。それを続けていると「最大限」のレベルが下がってきてしまいます。「速く振る」技術も身につかないか、身につけていたとしても使えなくなってしまいます。そのため、「最大限」のレベルを高めておくためにも、「速く振る技術」をさびつかせないためにも体を思い切り使う練習は、絶対的に必要なのです。

飛距離アップのためのイメージは、ハンマー投げ。重いものを体の回転を使って遠いところへ飛ばす方法を考えてみてほしい。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。 その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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