単身世帯における老後の平均支出
まずは、単身世帯における老後の平均支出を見てみましょう。
総務省統計局の「家計調査報告［家計収支編］2022年（令和4年）」によると、60歳以降の平均支出は表1の通りです。
表1
※総務省統計局「家計調査報告［家計収支編］2022年（令和4年）平均結果の概要」を基に筆者作成
毎月表1の支出がかかると考えると、60～65歳で970万5180円、65歳以降は仮に90歳まで生きたとして4294万1700円のお金が必要であるということになります。60～90歳の30年間にかかると推測されるトータルの支出額は、5264万6880円です。
なお、60～65歳については、全世代の平均支出額のデータを用いています。
ただし表1の数字は、生活に必要とされる「消費支出」のみの費用です。このほかにも、税金や保険料などの「非消費支出」がかかるため、上記の数字よりも支出は多くなる可能性があります。
老後に受け取れる社会保険給付金の平均額
次に、65歳以降に受け取れる社会保険給付金（年金を含む）の平均額を見てみましょう。同資料によると、65歳以上の単身無職世帯の平均値は月に12万1496円とのことです。
年間で145万7952円、90歳までの25年間で3644万8800円になる計算です。ただしあくまで平均値での金額ですので、人によってもらえる年金などは異なります。
まずは、老後にいくら年金を受け取れるのかを事前に確認しておくことが大切です。
年金と1500万円の貯蓄で老後は生活できるのか？
では老後にかかる支出ともらえる年金（社会保険給付）の平均値が分かったところで、貯蓄1500万円で生活費を賄えるのかを計算してみましょう。
60〜90歳まで生きた場合の、支出と社会保険給付額を表2にまとめました。
表2
※上記計算を基に筆者作成
表2を見てみると、今回のデータを基に計算した場合、年金を含む社会保険給付だけでは支出を賄えないことが分かります。さらに貯蓄が1500万円あっても足りません。このことから生活費は足りなくなることが予想できるでしょう。
また、高齢になると病気やけがのリスクが高まることから、年金と貯蓄1500万円だけだと、たとえ支出をおさえたとしても老後資金としては心もとないでしょう。
「もらえる年金が少ない」「貯蓄があまりない」などの場合には、定年後も働いて収入を確保するか、節約して支出をおさえる必要があります。
年金と貯蓄1500万円だと老後の生活費が足りなくなる可能性がある
今回の結果より、年金と貯蓄1500万円では、老後の生活は厳しいことが分かりました。もちろん人によって支出やもらえる年金が異なりますので、あくまで目安です。実際に、自分が老後にいくら必要になるのかを把握しておくと安心でしょう。
しかし万が一のことを考えて、早い時期から十分な老後資金を用意しておくことが大切です。貯蓄が少ない場合には、定年後も働き続けることを検討しましょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告［家計収支編］2022年（令和4年）平均結果の概要（15.18ページ）
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
