茨城・日立市、広域避難計画を決定 市長「実効性高める」 東海第2事故想定

広域避難計画案について審議した日立市防災会議=同市役所

茨城県日立市は27日、防災会議を開き、日本原子力発電東海第2原発(同県東海村白方)の重大事故に備えた広域避難計画を決定した。全市民約16万8000人が避難することを想定し、避難先として地区ごとに福島県の17市町村を割り当てた。計画が義務付けられた原発30キロ圏内の県内14市町村のうち、策定したのは7自治体目となる。

同市は全域が30キロ圏に収まり、人口規模は14市町村で同県水戸市に次いで多い。避難先は、おおむね小学校区単位の23地区ごとに設定。住民は、避難先自治体に原則1カ所ずつ設けられる「避難中継所」に向かい、ここで具体的な避難所の指定を受ける。

同じ市内でも、避難行動は原発からの距離によって二つに分かれる。5キロ圏内(PAZ)の3地区約2万3500人は放射性物質の放出前に即時避難。5~30キロ圏内(UPZ)の20地区約14万4500人はまず屋内退避し、放射線量に応じて避難する。

道路の渋滞や損壊を想定し、計画には主要な避難経路とは別に、地区ごとの代替経路を複数ルート盛り込んだ。複合災害への対応では地震や津波、暴風雨などの際に無理な避難はせず、人命を最優先することを基本方針とした。

計画案は同日の会議で原案通り了承された。終了後、小川春樹市長は「これで完全に実効性がある計画とは考えていない。市単独でできることには限りがあり、引き続き国や県と検討を進め実効性を高めていく」と述べた。課題として、最大延べ750台必要と見込む避難バスの確保や複合災害への備えを挙げた。

市は2024年度、計画に関する説明会を23地区で開催し住民へ周知を図る。地区単位のガイドマップも作成して全世帯に配布する予定で、マップには計画の概要や地区別の避難先、避難ルートなどを盛り込む。

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