「文句があるなら…」「誰のおかげで…」夫や妻から、こんな言葉を聞いたら要注意! 家庭内モラハラでよくあるセリフ10選

ひと昔前なら「かかあ天下」などと言われたことにも、モラハラが疑われる言動が… ※画像はイメージです(Peak River/stock.adobe.com)

夫婦間や親子間など家庭内でのモラハラに悩んでいませんか。ひと昔前なら亭主関白、かかあ天下、子どもへの愛のムチなどと言われていたものの中には、モラハラが疑われる言動もあります。家庭内で見られるモラハラの特徴的な行動やセリフ、モラハラへの対処法などを紹介します。

家庭内のモラハラに悩んでいませんか?

夫婦の間や親子の間など家庭の中でモラルハラスメント(モラハラ)が起こることがあります。モラハラは言葉や態度で相手を威圧したり束縛したりして精神的苦痛を与える嫌がらせのことです。モラハラは暴力を振るうわけではないので、周囲は気づきにくく、時には被害者本人も嫌がらせを受けていることに気づかないことがあります。

モラハラ被害に気付かない人の特徴や心理

被害者本人がモラハラを受けているのに気づかないのは、次のような性格などの特徴があるためだと考えられます。

・素直な性格で相手の言う事をよく聞く
・責任感が強く何でも自分でやろうと考える
・自分に自信がなく強く言われると相手が正しいと思ってしまう
・人の気持ちを汲み取る力が強く、相手に合わせてしまう
・相手を慕っていたり、信頼していたりする

こうした人たちが、モラハラを受けると、次のような心理状態に陥りがちです。そのため、モラハラを受けていても、自分が被害者だと気付かなくなってしまうのです。

・「自分が悪いので、相手を怒らせてしまった」と反省する
・相手を不機嫌にさせないよう、次からはしっかりしようと思う
・言葉は悪いが自分のためを思って言ってくれているのだと解釈する

このような心理状態が続くと、お互いにモラハラの加害者と被害者だと気付かないまま、モラハラ行為がエスカレートしていきます。そうなると、いつか夫婦関係や親子関係が壊れてしまうことにもなりかねません。家庭内でのモラハラに早く気づけるようモラハラでよくみられる言動を紹介します。

家庭内で起こるモラハラとは

家庭内のモラハラと言えば、専業主婦に対して夫が「誰のおかげで飯を食えると思っているんだ」と怒鳴るシーンをイメージする人が多いかもしれません。経済的に優位な立場を利用してパワハラのような言動で精神的に圧迫するのは、モラハラをする夫がよく使う手です。

しかし、逆に妻が夫にモラハラをするケースも少なくありません。妻がモラハラをするケースは、家事や育児で大変な思いをしているという気持ちや、女性のほうが弱い立場だという前提を前面に押し出して、夫に対し自分を優先的に扱うよう求めます。ときには、子どもを味方につけて精神的に圧迫することもあります。

親による子どもへのモラハラもあります。子どもが失敗すると、厳しい言葉をかけ容赦なしに責め立てるケースや、兄弟の中で1人にだけ冷たい態度を取ったり、兄弟や姉妹と比較して差別したりする場合があります。こうした言動は、子どもに恐怖心を植え付けたり、自尊心を傷つけたりするため、子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

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家庭内でのモラハラでよく見られる「10の行動」

家庭内でのモラハラでよく見られる10の行動を紹介します。これらの中に身に覚えのある行動があれば、モラハラの加害者や被害者なのかもしれません。一度チェックしてみましょう。

▽暴言を吐いて相手の人格を否定する

モラハラでよく見られるのが、相手に対する暴言です。「お前はダメなやつだ」「そんなこともできないなんて情けない」などと相手の人格を否定するような言葉で精神的に傷つけます。

何度も自分の人格を否定されると、言われた側は自分に自信を失い、次第に自分で物事を判断できなくなっていきます。

▽見下した態度を取る

モラハラをする側の夫や妻は、自分のほうが常に正しく、優れていると思っているので、相手を見下した態度を取ります。相手の意見は聞き流し、懸命にやる姿を見ても小ばかにしたように冷ややかな目をします。

このような態度を取られた側は、何か間違ったことを言ったのではないか、おかしなことをしているのではないかと不安になり、常に相手の反応を気にするようになります。そして、どうすれば相手を満足させられるのかということばかり考えるようになってしまうのです。

▽乱暴な態度で威圧する

わざと大きな音を立ててドアを閉めたり、大きな足音を立てて歩いたり、テーブルの上に物を叩きつけたりして、いかにも怒っているという態度で相手を威嚇するのも、モラハラでよくある行動です。こうして、相手に恐怖心を抱かせ、自分に服従させようとするのが狙いです。

▽相手の失敗をしつこく責め立てる

モラハラをする夫や妻は、自分が失敗しても平気な顔をしているのに、相手が失敗するとしつこく責めたてます。ときには、失敗とまではいえないのに、「もっと、違う方法があった」「自分の考えたやり方のほうがよかった」などと文句を言うこともあります。

相手に正しい方法をアドバイスするわけでもなく、ただ相手を責め立てることが目的なので、叱責や文句は自分の気が済むまで長々と続きます。責められたほうは、ますます自信を失い、叱られないよう相手の顔色ばかりをうかがうようになります。

▽無視する

気に入らないことがあると相手を無視するのも、モラハラの特徴的な行動です。無視することで、自分の何が悪かったのかを考えさせ、精神的に追い込もうとしています。無視された側は、無視によって精神的な圧迫を受けるとともに、自分の悪かった部分を考えさせられるため、やはり自信を失ってしまいます。

▽脅して相手を不安にさせる

「逆らったらどうなるか、わかっているのか」「家を出ていってもらう」などと脅して恐怖心を抱かせ、自分の思い通りにさせようとするのも、モラハラの1つです。経済的に弱い立場の妻や子どもは、言う事を聞かざるを得ません。妻が「家を出ていく」「家事は一切やらない」などと夫を脅すこともあります。

▽自由に行動させない

モラハラをする夫や妻は、相手を束縛したいと思っているので、相手が友人と出かけたり、パートやアルバイトなどを始めたりするのを嫌います。自分の知らないところで勝手なことをされると、相手が自分から離れていくのではないかと不安になるのです。

▽相手の意見を頭から否定する

自分の誤りや非を絶対に認めないのも、モラハラをする人の特徴です。このため、絶対に相手の意見は認めようとしません。最初から聞く耳を持たず、頭から否定する場合がほとんどです。自分の意見を聞いてもらえず、意見を押し付けられてばかりだと、人はしだいに自分で考えようとはしなくなってしまいます。それがモラハラをする側の狙いです。

▽責任を押し付けてなじる

モラハラをする夫や妻は、失敗しても絶対に自分の責任を認めようとせず、他人に責任を押し付けます。しかも、自分に都合の悪いことは、すぐに忘れてしまう傾向があるので、本当に他人が悪いと思い込んでいる場合もあります。

家庭の中であれば、責任を押し付ける相手は当然、配偶者や子どもです。責任を押し付けてなじることで、いっそう自分の立場を優位にしようとしています。

▽経済的に困らせる

自分の収入で一家が生計を立てていることを振りかざし、ほかの家族に対し傲慢な態度を取るのもモラハラでよくある行動です。具体的には、妻に十分な生活費を渡さなかったり、子どもが学校で必要な学用品の費用を出さなかったりします。

妻がどんなに家計のやりくりに苦労しようとも見て見ぬふりをし、妻が働くことを禁じます。一方、配偶者に働かせて、自分が稼いだお金は一切生活費に入れず、自分の好きな事で散財するタイプのモラハラもあります。

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家庭内モラハラでよくあるセリフとは

家庭内でモラハラをする夫や妻には、よく使われる共通のセリフもあります。もし、配偶者がこれに似た言葉をよく口にするのなら、要注意です。

▽誰のおかげで生活できると思っているんだ

妻より収入の多いモラハラ夫に多いセリフです。「自分がいないと生活できないだろう」「家を追い出されたくなければいうことを聞け」などと言うこともあります。こういうタイプの夫は、会社でも部下に「俺の言う事を聞かないとどうなるか分かっているのか」などとパワハラをしている可能性があります。

▽いつも家にいるくせに

専業主婦を小ばかにしている夫は、しばしば「一日家にいて、こんなこともできないのか」「どうせ、暇で昼寝でもしていたんだろ」などといったセリフを吐いて、妻よりも家計に貢献していることを誇示しようとします。家にいても、家事や育児にと妻は忙しく働いているのですが、夫はそんな妻の苦労を理解しようとはしません。

▽いつも気楽でいいよなあ

自分は優れていて、自分がいないと家計が成り立たないと思っている夫は、妻が自分に頼り切って楽をしているように見えます。このため「主婦は気楽だなあ」「俺もそんな楽な仕事をしてみたいよ」などと言って、妻の役割を軽んじます。

▽文句があるなら、俺と同じだけ稼いでこい

妻が専業主婦の家庭では、夫は会社で働き、妻は主に家事を担うという役割分担で生活を維持しています。本来、それは助け合いであり、上下関係はないはずなのですが、モラハラ気質の夫は、自分のほうが上の立場だと勘違いしています。

このため「一銭も稼いでいないのに、偉そうなことを言うな」「金も稼げない半人前のくせに」などと言って、妻を抑圧します。こうしたことを言うモラハラ夫は、自分が稼いだお金は、全て自分のものと考えている可能性があります。

▽男のくせにこんなこともできないの

モラハラ妻は、勝手に自分の理想の男性を作り上げ、それと比較して夫を非難します。「男のくせにだらしない」「隣の旦那さんならできるのに」などと、夫の欠点や失敗をあげつらい、自信を失わせます。こうした妻は「男なら、何があろうと妻のために尽くすのは当たり前」と勝手に思い込んでいます。

▽そんなこともわからないなんて情けないわね

相手を見下して、精神的に追い詰めるのはモラハラの大きな特徴で、夫であろうと妻であろうと変わりません。自分が知っていることやできることを、夫が知らなかったりできなかったりすると、途端に「そんなことも知らないの」「もう少し勉強したら」などと見下す妻がいます。

わざわざ「ダメな人ね」と付け加えることもあります。こうした妻は、自分の思い通りにならないと不機嫌になり、夫に当たるのも特徴です。

▽文句があるのなら、もっと稼いできたら

夫が自分のために稼いでくるのは当たり前だと思っている妻は、平気で夫に「給料が少ない」「もっと働いて稼いでこい」などと言います。こうした妻は「男は妻に贅沢させるものだ」と信じていて、自分の好きなものが買えないと夫に不満をぶちまけます。

▽お前なんて生まれてこなければよかったのに

子どもに対するモラハラで多く、最も子どもを心理的に傷つける言葉が「生まれてこなければよかったのに」「生まなきゃよかった」です。慕っている親にそんなことを言われると、子どもは自分の存在が親を苦しめているのだと感じ、罪悪感を抱きます。

「生まれてきてよかった」と思えずに育った子どもは不幸です。親は感情的になって発してしまった言葉かもしれませんが、子どもの心の傷は長く残ります。

▽あんたは何をやってもダメな子だね

夫や妻を見下す親は、子どもに対しても見下す態度を取ることがあります。子どもが失敗するのは当たり前なのに、失敗しない方法を教えることも、励ますこともしません。ただ「どうしてできないの」「何をやらせてもダメなんだから」と言うばかり。それでは、子どもは自信を失い、消極的な子どもになってしまいます。

▽子どものくせに偉そうに言うな

常に自分が正しいと思っている親は、子どもに対しても自分の意見を押し付け、相手の気持ちや意見を聞こうとはしません。何か言おうとしても「親の言う事を黙って聞け」「口答えをするな」と言うばかりです。

そうしたことが続くと、子どもは何を言っても無駄だと諦めてしまい、物事を自分で考えたり、問題を解決しようとしなくなってしまいます。また、親と同じように他人の意見を聞かない大人になってしまうかもしれません。

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家庭内のモラハラにどう対処する?

自分の配偶者が自分や子どもにモラハラ的な言動を繰り返すときはどうすればいいのでしょうか。関係修復を目指す場合から、距離を取るケースまで具体的な対処法を説明します。

▽モラハラであることを自覚させる

モラハラをしている夫や妻は多くの場合、自分がモラハラをしていることに気づいていません。もし、配偶者から「あなたのしていることはモラハラだ」と言われても最初は絶対に認めないでしょう。しかし、本人がモラハラを自覚しない限り、決して言動を改めることはありません。

夫にモラハラを自覚してもらうには、時間をかけて気付いてもらうのが一番の方法です。雑誌やWebサイトに載っているモラハラの記事をさりげなく見せてもいいですし、「ちょっとやってみようよ」と一緒にチェックリストを試してみてもいいでしょう。決して相手のプライドを傷つけずに、うまく自覚させられるようもっていければ成功です。

▽信頼できる人に相談する

モラハラをする夫や妻には、目上の人や自分より立場が上の人に頭が上がらないという弱点があります。このため、年上の友人や会社の上司などに間に入ってもらい、「あなたのやっていることはモラハラだ」と言ってもらえば、態度を改める可能性があります。

知人だけではなく、カウンセラーや精神科医、弁護士といった人たちから言ってもらう方法もあります。専門家に「モラハラに当たる可能性がある」と言われると反省してくれるかもしれません。ただ、直接、自分に利害関係がない相手には「余計なお世話だ」と開き直る人もいます。そのときは、配偶者も少し厳しく対応する必要がでてくるかもしれません。

▽言動を録音して証拠を掴む

周囲からの忠告も受け入れず、頑としてモラハラを認めないときは、モラハラの証拠を集めて突き付けるしかありません。将来、別居や離婚の話になったときのことも考え、証拠を集めましょう。

モラハラの証拠となるのは、暴言や攻撃的な態度を取ったときの録音や録画、日々の日記、相手から送られてきたメールやSNSなどです。また、友人や子どもの証言も証拠となる可能性があるでしょう。モラハラがエスカレートしているときは、裁判など強硬な手段も必要になることがあります。そのために、しっかり証拠を集めておきましょう。

▽別居などで距離を置く

モラハラ被害から、とりあえず逃げるには距離をおくことが有効です。家の中で別々の生活を送る家庭内別居という方法もありますが、モラハラに耐え難いときは、家を出て別居するのが一番です。距離をおくことで、現在の夫婦関係のありかたや、将来について冷静に考えることができます。

ただし、モラハラをする夫や妻は、別居に激しく抵抗するはずです。配偶者に自分を否定されたような気持ちになり、別居を受け入れる事はできません。中には「慰謝料を請求する」と言い出す人もいます。そうしたトラブルに備えて、弁護士にも相談しておくといいでしょう。

▽離婚する

モラハラをする夫や妻と関係修復する気がなければ、離婚するのも一つの手です。ただし、別居のときと同様、素直に離婚に応じてもらえるケースはほとんどありません。多くの場合、離婚調停や裁判など、家庭裁判所を介した手続きに入ります。

このとき、暴力や浮気といった証拠があれば、有利に事を進められるのですが、モラハラだけで裁判所に離婚を認めてもらうのは至難の業です。モラハラだけで夫婦関係が破綻していると認められることはほとんどありません。この場合は、何年か別居してから離婚する方法もあります。夫婦の関係や事情によって判断が分かれますので、詳しくは弁護士に相談しましょう。

家庭内でモラハラの兆候を察したら早めに対処を

モラハラをする夫や妻、親には共通した振る舞いやセリフがあります。それはパワハラまがいの言動であったり、恐怖心を抱かせて精神的に追い込もうとしたりするもので、相手を自分の思い通りにしようとします。

相手の言動がモラハラだと感じたら、相手と話し合ったり、信頼できる人や専門家に相談するなどしてエスカレートしないよう早めに対処しましょう。

家庭内でのモラルハラスメントは、第三者の目が届きにくいため、お互いが気づかないうちにエスカレートし、長期化、深刻化していくケースも多く、知らないうちにモラルハラスメントの加害者、被害者になっていることがあります。

夫婦関係や親子関係が壊れてしまう前に早く気づき、対処することが必要ですが、自分の視点では見えないこともあります。専門家に自分や相手の言動を伝え、第三者の視点で客観的に現状を知り、対処法を見つけるのもおすすめです。

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◆森澤雅代(もりさわ・まさよ)夫婦カウンセラー/課題解決型マッチングメディア「リコ活」専門家
修復・離婚・妊活・不妊・浮気・不倫など、夫婦全般のお悩みはもちろん、再婚のお悩みにも寄り添う夫婦カウンセラー。 NPO法人日本家族問題相談連盟認定上級 プロ夫婦問題・離婚カウンセラーの資格取得後、販売サービスにて、夫婦・恋愛・人間関係に関する電話・メール・チャット・対面のカウンセリングの経験をもつ。

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