女性がなりやすい!? 「顎関節症」について医師に聞きました

顎関節症

働く女性が気になる症状や疾患について解説。今回は、女性がなりやすいといわれる「顎(がく)関節症」をひも解きます。

教えてくれたのは…安藤雄基先生

あんどう歯科・美容皮フ科院長。歯科と美容皮膚科の連携をコンセプトに、一人ひとり誠実に向き合い、治療を通して「幸せ」を提供できるクリニックを目指す

Q.顎関節症とはどんな病気?

顎の関節や周囲の組織における問題や異常により、痛みや開口障害などが生じる病気です。食いしばり癖がある方など、日常的に顎関節に負担がかかる方に見られます。原因はさまざまで、癖(頬杖や物を食べるときに片側ばかり使う)、歯ぎしり、ストレス、歯並びの問題、外傷、顎関節の形態異常などが関係しています。治療法には、症状の軽減を目指すための対症療法、外科手術、ストレス管理、マウスガードの装着などがあります。重度の場合は専門家の診察を受けることが大切です。

Q.なりやすい人の特徴は?

顎関節症には性差があります。女性が多く、男性の2〜4倍で、若い女性と中年の女性に多いのが特徴です。顎の関節形態と年齢的形態変化が主な原因といわれています。ほか、食いしばりや歯ぎしりなどの習慣がある、歯のかみ合わせが悪い、過度のストレスなどが影響することも。また、顎の形態や関節の構造が遺伝的に影響されるため、家族に顎関節症になった人がいたら注意が必要です。

Q.症状はどんなもの?

痛みや不快感、開口障害、開口時のクリック音(カクッと関節音がする)、顎がスムーズに動かなくなり動きに左右差が見られる、顎関節の腫れや軟部組織の腫れなどが症状として現れ、異変に気づく方が多いです。

Q.放置するとどうなる?

治療せずに放置をしていると、日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。具体的には、慢性的な痛み、口の開閉障害、そしゃく障害などです。これらはさまざまなところに影響を与えます。そしゃく障害は、食事に影響が及び、栄養不良や消化器系の問題が引き起こされる可能性もあります。口の開閉障害は、発音や口の動きに支障が生じ、言語障害につながる可能性も。慢性的な痛みは睡眠障害を引き起こし、口の開閉が制限されることで睡眠時の呼吸にも影響を与える可能性があります。こういった不快感、日常生活の制限は、ストレスや不安につながり、うつ病や不眠症などの心理的な問題を引き起こす可能性もあります。

Q.日頃からできる対策は?

顎関節症を予防する方法は下記の通りです。

● 健康な口内環境の維持…定期的な歯科検診を受け、歯並びやかみ合わせの問題を早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です

● ストレス管理…ストレスが顎関節症の発症や悪化に影響を与えることがあります。適切なリラックス法やストレス管理の方法を取り入れましょう

● 歯ぎしりや食いしばりの防止…歯ぎしりや食いしばりは顎関節に過剰な負担をかけることがあります。歯ぎしりがある場合は、マウスガードの着用やストレス管理などの対策を行いましょう

● 適切な食事…ガムを頻繁にかむ、硬い食べ物ばかり好んで食べる、片側ばかりかんで食べるなどを改め、左右バランスよくかんで食べましょう

● 良好な姿勢を保つ…良好な姿勢を保つことで、顎関節に負担をかけることを軽減することができます。特にデスクワークをする場合は、適切なデスクや椅子の高さを設定し、良好な姿勢を保つように心がけましょう

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