「作図は不可能」全線マップ完成 弘南バス(青森県) 専門家・大野さんと地図作家・今和泉さん協力

弘南バスが新たに製作したバスマップの一部

 弘南バス(本社青森県弘前市)は、あまりの複雑さゆえに業界の専門家らの間で「作図は不可能」とさえ言われてきた同社の全線バスマップを完成させた。バスに詳しい専門家とテレビ番組「タモリ倶楽部」や雑誌などに登場した地図作家が協力し、苦労しながらも実用的で分かりやすい路線図に仕上げた。満足いく出来栄えに、同社担当者は「多くの方に利用してほしい」と話した。

 製作にはバス利用促進に向けた活動をしているモビリティプロモーション代表で弘前大学大学院客員研究員の「バスぷら博士」大野悠貴(ゆうき)さんと、地図作家・今和泉隆行さんが携わった。2人は2016年と23年に同市中心部の路線マップを作ったことがある。

 同社がだいぶ以前にモノクロのものを製作したが、発着地などが分かりづらかった。新しいマップは最新の技術とデザインを採用している。地図を薄く表示し、路線とバス停を濃くしている。路線ごとに色分けをして発着地が分かりやすくした。路線の色は弘前市が製作したマップをベースに再設定し、五所川原や黒石エリアにも対応させた。

 大野さんは「一つの路線は一つの色だが、混み合った複雑な場所はグラデーションを使ってつなぐなど工夫をした」、今和泉さんは「事前に市作成の路線図があったおかげで、その複雑な路線網を事前に知ることができてはいたが、これを郊外の細かい支線の枝分かれも含めて1枚の路線図で表すということは、至難の業でもあった。地図趣味者としては逆に燃える部分でもあった」と語った。

 新マップは21日から配布している新しい時刻表の冊子に掲載。同社公式サイトでは4月をめどに公開する。

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