髙尾山薬王院 学生考案の案内板設置 絵文字で訪日客にも配慮 八王子市

新設された境内案内図とデザインした前迎さん

国内外から高尾山を訪れる人が境内をつつがなく参拝できるようにと大本山高尾山薬王院(佐藤秀仁貫首)は3月21日、日本工学院八王子専門学校(片倉町)の学生がデザインを考案した境内案内図の看板を初めて設置した。ピクトグラム(絵文字)を採用することで、訪日客などにも建物の位置やどんなご利益があるかがわかりやすく示されている。

年間約300万人が訪れる都内でも有数の観光地である高尾山だが、これまで境内に点在するお堂などの位置をわかりやすく示した案内図がなく、「どのようにお参りしたら良いかわからない」という問い合わせも多かったという。また近年は海外からの旅行者も増えていることから、佐藤貫首が「誰もがわかりやすいピクトグラムを採用した案内図を設置したい。ただ作るのではなく地元の学生にデザインしてもらっては」と発案。日頃から薬王院と親交がある同校に声がかかり、2022年に同校の学生が高尾山を訪れて歴史や建物の造りなどを理解して各々デザインを考案した。40人の学生から提出された61点の作品の中から、前迎(まえむかい)聖実さん(21)のデザインが境内案内図看板に採用された。

境内で除幕式

看板は脚部を除いた高さ2・4メートル、幅2・8メートル。高尾山中腹にある薬王院の境内、護摩受付所前に設置された。21日に除幕式が催され、佐藤貫首から最優秀作品の前迎さん、優秀作品に選ばれた佐藤玲奈さん(21)と堀口友里さん(21)に感謝状が手渡された。佐藤貫首は「若い皆さんに、時代に応じた素晴らしい看板をデザインしていただいた」と感謝を述べた。

前迎さんは「ピクトグラムには建物の見た目だけでなく、その歴史的背景も落とし込んだ。杉の和柄で高尾山をイメージし、伝統色を使うことで長く続く日本の文化を表現した」と説明。「自分がデザインしたものが長く形に残ることがうれしい。この経験を生かして今後も精進していきたい」と展望した。

学生たちが提出した全61点のピクトグラム作品展が、薬王院の護摩受付所内で開催されている。4月21日(日)まで。

佐藤貫首(左から2人目)から受賞者に感謝状が手渡された

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