妊娠初期の超音波検査で確認できることは?赤ちゃんの性別はいつごろわかる?【産婦人科医】

妊婦健診時に行われる超音波検査。妊婦さんにとっておなかの赤ちゃんの様子が見られる楽しみな時間ですが、そもそもどういうしくみで赤ちゃんが写っているのでしょうか? また、妊娠初期の超音波検査でわかることや医師が確認しているポイントなどを、丸茂レディースクリニック院長・丸茂元三先生に教えてもらいました。

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超音波検査でおなかの中の様子がわかるしくみは?

超音波画像は、かたいものにぶつかると反射し、液体などは通り抜けるという超音波の性質を利用して、羊水内の赤ちゃんの姿形を画面上に投影しています。赤ちゃんの背骨や肋骨、頭蓋骨などかたいものは白く、羊水や血液、膀胱の中の尿などは黒く、筋肉や脂肪、胎盤などはグレーに写ります。また、写っているのは赤ちゃんの断面のため、超音波をあてる位置や角度によっても写り方が変わります。

妊娠初期の超音波検査でわかること・医師が確認していることは?

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

子宮内に妊娠しているかどうか

市販の妊娠検査薬で陽性が出ても、受精卵が子宮内に着床していない異所性妊娠の可能性もあるため、初診では子宮の中に胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)があるかどうかをまず確認します。確認できれば、正常な子宮内の妊娠と判断されます。

子宮や卵巣にトラブルがないか

妊娠経過や出産に影響を及ぼす可能性のある、子宮筋腫や子宮の奇形、卵巣の腫れやトラブルなどがないか、医師は確認しています。

赤ちゃんの心拍

妊娠6~7週以降に、赤ちゃんの心拍を確認します。超音波画像で点滅して見える赤ちゃんの心拍動は、最初のうちはゆっくり、しだいにしっかり早くなっていきます。この時期に継続して心拍が確認できると妊娠経過は順調で、流産の可能性はゼロではありませんが低くなります。

赤ちゃんが何人いるか

赤ちゃんが1人(単胎)か、複数(多胎)かを確認。双子の場合はさらに一卵性か二卵性かも妊娠初期に調べます。多胎妊娠の場合、大きな産院に紹介されることもあります。

赤ちゃんの大きさと正確な妊娠週数

超音波検査では、赤ちゃんの頭からおしりまでの長さ(頭殿長)や、頭の左右の直径(児頭大横径)の長さなどを測定し、赤ちゃんの大きさや発育をチェックします。

妊娠8~10週ころの胎児は発育に差が少ないため、赤ちゃんの頭殿長を、また妊娠11週以降は児頭大横径を正確に測って、妊娠週数や分娩予定日を決定します。

赤ちゃんの性別はいつごろわかる?

ママ・パパが気になる赤ちゃんの性別は、いつごろわかるのでしょうか。

妊娠5カ月ごろから

男の子は股の間にペニスが、女の子は木の葉形をした外陰部が、早い人で妊娠5カ月ごろからわかります。ただし、赤ちゃんの姿勢によってなかなか外性器が写らない場合もあり、判定が遅くなることも。また、女の子と言われていても、途中でペニスが見つかり修正されることもあります。

監修/丸茂レディースクリニック院長 丸茂元三先生 文/たまごクラブ編集部

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超音波写真は見慣れないと、何が写っているかわかりづらいもの。超音波写真をもらったら、家でパパに説明するためにも、その場で先生に何が写っているのかを聞くといいでしょう。初めのうちはわかりにくくても、見慣れてくるとだんだんわかるようになります。

参考/『初めてのたまごクラブ』2024年春号「超音波写真の見方GUIDE」

●記事の内容は2024年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

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