中国工商銀行、不動産市場の安定化支援へ 具体策には言及せず

[上海 28日 ロイター] - 中国工商銀行の王景武・副行長は28日、不動産市場の安定化に向けた向けた動きを支援すると表明した。

前日の決算発表を受けた記者会見で述べた。具体的にどのような形で市場の安定化を支援するかには触れなかった。

国有不動産会社の方が民間不動産会社よりも多くの支援を受けるのかとの市場関係者の疑問については「所有形態にかかわらず、不動産会社を平等に扱う」と述べた。

関係者によると、中国の規制当局は、不動産業界支援策の一環として融資に適した「ホワイトリスト」に登録された不動産プロジェクトについて、銀行に対して資金繰りに窮した民間不動産開発会社向け融資の承認手続きを迅速化するよう指導している。

中国の交通銀行は前日、不動産会社向けの不良債権比率が上昇していると、リスクを警告した。

交通銀行の殷久勇・副行長は「資産の質の管理に対する圧力は大きい」とし、不動産関連事業の「リスク管理を強化する必要がある」と述べた。

同行の不動産融資の不良債権比率は昨年末時点で4.49%。2022年末時点の2.8%から上昇した。

中国工商銀行と交通銀行の純金利マージンは昨年、一段と縮小。銀行関係者やアナリストによると、今年も引き続き圧迫される見通しだ。

アナリストは不動産部門の低迷が今年、銀行の資産を圧迫すると指摘している。

フィッチ・レーティングスのアジア太平洋金融機関担当ディレクター、Elaine Xu氏は「不動産セクターの低迷とLGFV(地方政府融資平台)に対するエクスポージャーは、消費者需要の低迷とともに、今年も中国の銀行の業績を圧迫するだろう」と指摘。不動産融資への依存度が高い中小の金融機関は今年さらに厳しい状況に直面するとみられると述べた。

「経済が低迷し不動産部門のストレスがより深刻な地域の小規模地方銀行が、信用力の点で今年最も悪影響を受ける可能性がある」としている。

© ロイター