リカルド・ゾンタを抑えたフェリペ・マッサが通算3勝目。日曜降雨中止でランク首位浮上/SCB第2戦

 開幕戦から3週間のインターバルを経て、アウトドローモ・ヴェロチッタで開催されたSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第2戦は、このラウンドで通算300レースの節目を迎えた3連覇王者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)が、金曜フリープラクティス(FP)と土曜予選で最速タイムを記録する幕開けに。

 しかし今季2024年より導入された新フォーマットの土曜スプリントでは、移籍2戦目のフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が昨季終盤から続く連続表彰台記録を更新。最後はリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)を抑え切ってシリーズ通算3勝目を飾り、日曜メインレースが豪雨による開催中止に追い込まれたことから、自身初の選手権首位浮上を果たしている。

 ブラジルの首都サンパウロから内陸部に入ったモジ・グァスーに位置する、シリーズおなじみのトラックとなるヴェロチッタは、全長3493m、14のコーナーで構成される反時計回りのコースで、下りから始まり上り坂で終わる名物S字セクション“Curva da Caipirinha(クルヴァ・ダ・カイピリーニャ)”が最大の特徴に。タイヤとブレーキに負担がかかり、中低速の非常にテクニカルなレイアウト特性を持つ。

 そんな難関トラックで輝きを放った40歳の国際的スターは、自身の出走300戦を祝うべく金曜走り出しから1分30秒863の最速タイムを記録。明けた土曜午後に行われる30分間のスプリント、そして日曜レース時間50分のメインと両ヒートのグリッドと獲得ポイントが決定される、より重要度の増した予選でも、若干20歳のフェリペ・バプティスタ(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)を退けて通算14回目のポールポジションを獲得した。

「300回目のレースでポールポジションからスタートするのは特別なことだ」とセラ。「クルマの挙動も良く、路面状況が変化していたこのセッションでもうまく適応することができたよ。でも今はすぐにスプリントレースのこと、そして明日のレースのことを考えるときだね」と、開幕でポール・トゥ・ウインを達成している新鋭を撃破した大ベテランは続けた。

 迎えた午後のスプリントレースは、予選タイムの上位12名を対象とした“インバーテッド”グリッドルールにより、アラム・コデア、フェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)のペアがフロントロウから隊列を率いるスタートに。

 レースウイーク前から荒天が予想されていた週末は、強風と小雨によりさらに不確実性を増すなか、2列目4番手発進だったマッサはオープニングラップで前方の“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロ(モービルエール・フルタイム・フルタイム/トヨタ・カローラ)をパスして3番手に浮上していく。

 その後、パワーステアリングの問題を抱えてレースを終えた“ドゥドゥ”に代わり、ゾンタとその僚友であるブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)らがトップ3を追走。そして義務付けられたピットストップ時間帯後に決定的な瞬間が訪れる。

WEC世界耐久選手権でも活躍を演じるダニエル・セラ(Eurofarma-RC/シボレー・クルーズ)は、節目のシリーズ300戦目を迎えた
そんな記念すべき1戦でポールポジションを射止め、父のチコ・セラ(左下)からも祝福を受けたダニエル・セラ
土曜スプリントレースは、アラム・コデア、フェリペ・フラーガ(Blau Motorsport/シボレー・クルーズ)のペアがフロントロウから隊列を率いる
下りから始まり上り坂で終わる名物S字セクション”Curva da Caipirinha(クルヴァ・ダ・カイピリーニャ)”が最大の特徴に

■首位を走るシボレーがまさかのスローダウン

 先頭でワン・ツー体制を固めるブラウ・モータースポーツ陣営に対し背後のマッサ、ゾンタらが先に動くと、残る2台となったコデアは首位を守ったものの、最後に入ったフラーガはライバルのアンダーカットを許しポジションを失う展開に。

 さらにセカンドスティントを走破してゴールラインを目指すのみだったコデアの18号車は、直後にコース上でマシントラブルを抱えてまさかのスローダウン。これでマッサがリードを引き継ぎ、この日が48歳の誕生日でもあったゾンタとフラーガのトップ3へと変化する。

 そのままファイナルラップでもゾンタからのプレッシャーに抵抗したマッサがヴェロチッタでの勝利を確定させ、3位フラーガを挟んで4位バプティスタ、5位に開幕スプリント覇者のラファエル鈴木(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が続くなど、マルセル・カンポス率いるTMG-RCM陣営がトップ5中の4台を占める結果となった。

「素晴らしかった、まさに『マキシマム・シークエンス』だ!」と勝利の雄叫びを上げたマッサ。

「タイヤを大事にしてあまりプッシュしないようにしたし、適切なタイミングでスパートしたかった。だから最初のスティントでもウインドウの最後に少しグリップを使えるよう、インラップまで余力を残しておけたんだ」

「だから今日のレースは完璧だったし、経験と忍耐が勝利をもたらしてくれた。僕らが実現しているチームワークと戦略に非常に満足しているし、それが今後も多くの成功を運んでくれるはずだ」

 そして日曜正午を回ったところで、今度はセラが首位発進を切る予定だったメインレースは、同日未明から強く降り続いた雨のため「ドライバー、チームメンバー、イベント関係者全員の安全と身体的健全性を最優先に考え」中止の決定が下された。

「気象状況の改善を待ったが、それは起こらなかった。天気予報では雨は今日の終わりまで降り続くだろうとのこと。つまりこれは偶然の出来事と不可抗力によって引き起こされた決断だった」と説明したのは、プロモーター代表としてVicarを率いるCEOのフェルナンド・ジュリアネッリ。

「ドライバーの安全が第一だ。そして今日ヴェロチッタに来て、いつまでも待ち続けてくれたファンの人々と、シリーズサポーターの面々にも敬意を表したい。我々は数周の点検を行ったが、コースはまだ技術的にも安全性にも問題がありレースができる状態ではなかった。今日の状況では中止することが最善の解決策だったんだ」

 その結果、マッサは週末137ポイントを獲得してチャンピオンシップリーダーに躍り出ることに。この代替レース日程と場所は「間もなく発表される予定」としている。

首位を引き継いだフェリペ・マッサ(TMG Racing/シボレー・クルーズ)が、リカルド・ゾンタ(RCM Motorsport/トヨタ・カローラ)を抑え切る
「最初のスティントでもウインドウの最後に少しグリップを使えるよう、インラップまで余力を残しておけたんだ」と勝者マッサ
日曜は未明から強く降り続いた雨のため「ドライバー、チームメンバー、イベント関係者全員の安全と身体的健全性を最優先に考え」中止の決定が下された
これでマッサは週末137ポイントを獲得してチャンピオンシップリーダーに躍り出ることに

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