北海道長沼町「まおい学びのさと小学校」の冬 開校から1年 子どもたちの成長

北海道の長沼町に新しい小学校が誕生してもうすぐ1年が経ちます。テストもなければ宿題もない、ちょっと珍しい学校、子どもたちはこの1年でどんな学びを得たのでしょうか。

冬休み明け初日。子どもたちの声が響きます。

児童「毎日もち食べてた。」

細田孝哉校長「久しぶりになると、うれしいですね。みんな少しずつちょっとずつ背が大きくなったり、重くなったりしているね」

白い雪の絨毯にぽつんと立つ赤いとんがり帽子。

去年の春に開校した私立「まおい学びのさと小学校」です。

児童「(小屋の)中、大変なことになってる・・・」(Q卵産んでた?)「産んでいない」

去年9月に学校にやってきた8羽のニワトリ。寒さが厳しさを増す冬休みの間も、子どもたちがシフトを組んで、しっかりお世話をしてきました。ニワトリを飼育しているのは「料理チーム」です。

時間割の多くを占めるのが「プロジェクト」と呼ばれる「体験学習」。今年度のプロジェクトは「ものづくり」「演劇」そして「料理」の3つで、子ども達はそれぞれ自分が興味のあるプロジェクトを選択しています。

この学校にテストや宿題はありません。体験を通して、国語、算数、理科、社会など複数の教科を総合的に学ぶのが特徴です。

建設チームの学校スタッフ「なにをやりたいか、みんなで出していこう。ということで祈良くん、やりたいことをみんなから」

子どもたち「やりたいこと手挙げて」「かまくら!」

「ものづくりチーム」はこの3学期、雪を使った遊び場をつくることにしました。話し合いは子どもたちが自主的に進めます。

子どもたち「雪合戦!」「かまくらの中でインスタントラーメン」「サウナ!」「サウナ!?」

たくさん意見は出ますが、収集がつかなくなってきました。

細田校長「かまくらと雪像と雪合戦で分けて、『いいですか』と。あとやりたい人で分かれて」

大人は手を差し伸べるだけ。なにが出来上がるのか楽しみですね。

「基礎学習」という時間もあります。体験型の「プロジェクト」で学びきれない「ことば」と「かず」に触れる時間です。

(Qどんな勉強?)「冬休みに行った場所と”まおい”からの距離」

(Qどこに行ったの?)「オーストラリア」「7668キロ・・・」

プリントは学校スタッフのオリジナルです。

”しょーちゃん”こと今井翔太さん「これをきっかけに『どこいった?』と話が盛り上がるから。自然と振り返りできるかなと、交流にもなるし」

全国各地から児童が集まっている「まおい学びのさと」。1年生から4年生までの児童59人が通っています。

校則も自分たちで決めてきました。学校に関する様々なルールを決める週1回の全校ミーティング。きょうの議題となったのは・・・

「能登半島地震で苦しんでいる人や、石川・福井県などの人たちに募金をしたいです」

4年生「もしかしたら北海道で同じような災害が起きるかも知れないし、そのときに他の人に助けてもらうなら、先にやっておいたらまた(災害が)起こったときにも、いろんな人から援助もらえるから、返ってくると思うから、募金した方がいいかなと思いました」

2年生「何に使われるかっていうのは、ちゃんとわかるならいいけど、わかんなかったらお金を損してる感じがする」

3年生「この前、政府の話し合いがあってずっと見てたら、『ごはんが足りてない』って言ってて、でもその政府が募金されたお金をどう使うかはわからないので、(募金は)やめた方がいいと思う。」

4年生「健悟は何に使うかわかったら、それ次第で賛成か反対かを決める?」

しょーちゃん”こと今井翔太さん「提案なんですけど、みんな使われ方が不安というのと、何が必要かわからないということなので、一旦調べてどういう送り先があって、何が必要かというのを調べて考えたらどうですか」

取り決めをつくるときは投票制です。子どもも大人も同じ1票を投じます。

「来週決めたい人、手挙げてください」「では来週決めます」

次の週のミーティングで、募金箱を設置することが決まりました。被災者の生活を支援するために「日本赤十字社」に贈ることを決めたそうです。

児童「あっちにかまくらあるよ。」

カメラマン「かまくらある?本当?見に行こうかな」

プロジェクトの「ものづくり」が完成したようです。「かまくら」でした。

(Qここで何するの?)児童「おもち食べる予定で作った」「もう(天井)だいぶ下がってきたよ。前は立てた。だから僕いま怖いの」

ものづくりチームの子どもたち「何mm?」「38mm」「最初1つ目おれ打つから。」「オッケー!」

みんなで遊ぶための遊具づくりも手慣れてきました。

(Q(工具は)だいぶ慣れた?)児童「いろんなもの作ってるから。ツリーハウスみた?あれもやってるからだいぶできたと思う」

細田校長「子どもたちがやっぱり(去年の)春から見ると、日々接していると感じなかったけど、ちょっと冬休み振り返ったら身長も伸びてるし、それだけじゃなく精神的に成長してるなと感じるので、またこの先、春までまた成長して、次の学年になっていって、楽しみだなと思っています」

4月には、新たに17人がこの学び舎にやってくることになっています。「新一年生を迎える会」をする計画も動き出しました。

「とりあえず、スタッフの自己紹介+司会のコメント。」「そのあと乾杯!乾杯?リンゴジュース飲みたい。」「何に乾杯するの?」「入学おめでとう!」

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