歓迎会シーズン到来 “会食のプロ”元電通マンに聞いた「オンチのカラオケ必勝法」と「絶対盛り上がる曲」

歓迎会の二次会といえばカラオケ ※画像はphotolibrary

徐々に暖かい日も増え、いよいよ桜も咲き始めた。新入社員の入社日までのカウントダウンも始まり、新しい出会いに胸ときめかせている人もいることだろう。

新メンバーを組織に迎え入れるにあたっての恒例行事と言えば歓迎会。そんな歓迎会における二次会の場としてよく流れるのはカラオケである。「親睦を深めるため」とは言うものの、苦手な人も多いカラオケ。乗り切るにはどうすればよいかと悩む人も多いことだろう――。

そんな悩める人へと向けてアドバイスを送るのは、日本最大の広告代理店・電通に勤務した元電通マンで、2024年2月28日に初の著書『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』(ダイヤモンド社)を出版したyuuu氏だ。

氏は先日自身のX(旧ツイッター)上で、会食後の二次会カラオケについて「本当に嫌だった」と述懐。当時の思い出として、「なので、周囲が入れて盛り上がった曲をカウントし、上位曲をメモして(カラオケの場は)やり過ごしました」として、著書に収めた『カラオケで盛り上がる曲リスト』の一部を公開した。すると、《めちゃくちゃ使える》《とてもありがたい》と注目を集め、444.2万ビュー、4.2万の"いいね”を獲得するなど大きな反響を呼んだのだ。

そんなyuuu氏に、カラオケが苦手な人が「押さえるべき2つのポイント」及び「苦手(orオンチ)でも盛り上げられる曲 男性ボーカル/女性ボーカル各3選」を聞いてみた。

■桑田佳祐、モー娘。カラオケが苦手な人が押さえるべきポイントと「鉄板曲」

自身もビジネス会食の後に向かう二次会のカラオケが「嫌で仕方なかった」という前出のyuuu氏。氏によれば、カラオケが苦手な人が押さえるべきポイントは、「1曲目を入れる」ことと「人が歌っている最中にスマホを見ない」こと。とはいえ、ただでさえ知らない人ばかりが周囲を囲む歓迎会の場において、よほど自信がない限り、新人が1曲目を選曲するのはなかなかハードルが高そうに思える。

「実は1曲目を自ら入れるだけで、その後がめちゃくちゃ楽になります。カラオケが苦手な人にとって、場がシーンとしたときに”そういえばまだ歌ってないよね”って振られるのが一番ツラいですから。オンチでも恥ずかしがることはまったくありません。”オンチ行きまーす!”って、明るく振舞いオンチであることを逆に武器にしたらいいんです」(yuuu氏)

それでも難しければ、「聴き役に徹する」ことも手だ。

「人が歌っているときには、しっかり聴く。カラオケは、途中で必ず《視聴率ゼロの時間帯》がやって来ます(笑)。そういうときにスマホなど見ずにしっかりと曲を歌っている人の声を聴いてあげると、“あの人は最後まで聴いてくれた”って、それだけでめっちゃいいヤツになれる。スマホを見ているヤツと比べて、人に向き合う誠実なタイプという印象を与えることができます」(前同)

■歌うのが苦手でも盛り上げられる鉄板曲

盛り上げられる選曲のポイントは、「歌手の知名度が高い」「世代を問わず聞いたことのある曲」「アップテンポ」の3点だ。

前述した、yuuu氏がX上で披露したリストには、1970年~80年代生まれ世代が聞いて喜ぶ曲の数々が記載されている。“歓迎してくれる側”には、ちょうどその世代も多いことから、今年の新入社員にとっても非常に参考になるはずだ。その中で、場を盛り上げられる楽曲はというと――。

「男性ボーカル編では、THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』『TRAIN-TRAIN』などは歌いやすく、盛り上がりも間違いない。桑田佳祐(68)の『波乗りジョニー』、CHAGEandASKAの『YAH YAH YAH』もいいと思います。

女性ボーカル編で、圧倒的にウケがいいのはREBECCAの『フレンズ』ですね。BLACK BISCUITSの『Timing〜タイミング~』は、“外し”に行ったけど、しっかり盛り上げたな、という評価を得られるでしょう。モーニング娘。の『恋愛レボリューション21』も男女が好きなアイドル曲で、ノリもよく盛り上がると思います」(同)

■上司に気を遣わせないためのカラオケスキル

一方で、上司の世代にピッタリの曲ばかりをカラオケで入れていると、「“気を遣わせてしまっているのではないか”と上司に思わせてしまうリスクがある」と前出のyuuu氏は指摘する。

「70年~80年代の曲を立て続けに入れる際には、”親とのドライブで幼少期から聴いていて、この世代の曲が大好きだった”など、“この会のために勉強して知ったわけではない”ということをさり気なく伝えることをお勧めします。この言葉を聞くと上司は納得し、安心します。

また、少し高等なテクですが、あえて自分の世代の曲を入れて、上司に”この曲は知っているよ”と若者世代の文化・曲に造詣があるとマウントをとらせてあげるのも極めて有効な手です」(前同)

ただし、若者世代の楽曲を歌うときは、上司でも聴いたことがあっておかしくない”紅白でも歌われた大ヒット曲”にとどめておくべきだという。

「たとえば今、人気の2人組ユニット・YOASOBIだと『夜に駆ける』や『アイドル』、Vaundy(23)なら『怪獣の花唄』までですね。たとえ若手世代の有名歌手であってもニッチな曲を歌うのはあまり推奨できません。上司に響かず、微妙な拍手とノリで場が凍るときがありますから」(同)

最後にyuuu氏は、電通時代の同僚たちが見せていた恐るべき“カラオケの乗り切りテクニック”を明かしてくれた。

「余談ですが、電通時代には毎日カバンにリコーダーを忍ばせていた先輩がいたんですよ。いったい何に使うんだろうと思っていたら、カラオケが始まった瞬間にここぞとばかりに取り出して、吹き始めたのです。松任谷由実(70)の『春よ、来い』を。何とも言えない、微妙なうまさでした。

テクニカルな技としては、タンバリンなどの小道具を頑張るのも一つの手です。私は10年に『R-1ぐらんぷり』で準決勝に進出した実力もあるピン芸人・タンバリンマスターGONZO(38)のyoutube動画を見て、不気味なタンバリンさばきを習得しました」(同)

会食でもカラオケでも、そこでの振る舞いは社会人として周囲から注視されている。新入社員の生存戦略はすでに始まっているのだ。

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