【インタビュー】逹瑯(MUCC)、ソロ第二章となるアルバム二作に迷いなし「自由に歩きたい方向に進んでいく」

MUCCの逹瑯が3月13日にアコースティックカバーアルバム『Pandora Juke Vox』、4月3日にオリジナルアルバム『COLORS』を2作連続リリースする。アルバム『=(equal)』、『非科学方程式』同時リリースからソロを本格始動した逹瑯は、その第二章として“J-POPに挑戦”をテーマに掲げ、大島こうすけをプロデューサーに迎えて「エンドロール」「残刻」「ソラノカタチ」といったシングル三作を立て続けにリリースし、貪欲に刺激を求めながら、表現の幅を広げてきた。

そして完成した3rd アルバム『COLORS』は、疾走感溢れる表題曲「COLORS」や攻撃性たっぷりの「OVERKILL」、艶やかなラブソング「NOBLE」など、さらにヴォーカリスト逹瑯の多彩な個性を堪能できる1枚に仕上がった。

「シングルとアルバムの制作過程で、たくさんの気付きを得た」とは逹瑯の言葉だ。25年におよぶMUCCの活動で刻まれたものと、ソロへの挑戦で引き出されたもの。自身のルーツと、枠にとらわれない好奇心。そのすべてを糧として、自分の表現と向き合ったからこそ生まれたアルバムが『COLORS』だ。

初のアコースティックカバーアルバム『Pandora Juke Vox』、当初同時リリースを予定していた3rdアルバム『COLORS』発売延期の理由、その結果新たな発見も得たというアルバム制作を振り返り、じっくりと語ってもらった。

◆ ◆ ◆

■DNAに刷り込まれてんだな■抗うのはやめましょうと

──2023年12月に発表されたのBARKSインタビューの時点で、「まだアルバムは全然できていない」とおっしゃっていましたが、本格的にアルバム制作を始めたのは、MUCCのツアーファイナル(2023年12月28日@東京国際フォーラム ホールA<MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End to「Timeless」&「WORLD」>)が終わってからですか?

逹瑯:2024年1月からですね。本当は、MUCCのツアーの合間に…2023年11月くらいからちょっとずつ作業しようと言っていたんですけど、やっぱりMUCCのツアー中にソロアルバム制作の脳みそに切り替わらなくて、諦めちゃいました。ツアースケジュールをこなしていく中で使っている脳みそだと、ゼロからイチを生み出す作業は難しかったです。

──特に、MUCCの過去曲たちをたくさん演奏していた25周年ツアーと、ソロの新曲制作では、ベクトルが全く違いますもんね。

逹瑯:うん、全然できなかったです。でも、結果的にそれが良くて。11月とか12月頃に曲作りを始めていたら、たぶん全然違う感じのアルバムになっていたと思う。というのも…2023年12月31日のイベント(カウントダウンライヴ<MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴->@茨城・水戸LIGHT HOUSE)にソロで出演したんですけど。いつもソロライヴでは全曲同期を流してクリックに合わせてやっているところ、その日は違うかたちでやったんですよ。そのライヴが終わった後、「バンドサウンドだけで成立してる曲もあるね」という話になって。「次からは同期もクリックもなしで、バンドサウンドだけでバンッといけるような曲を増やしていこうか」というモードになったんです。もともとソロライヴをやっていく中で、ずっと“なんかふわっとしてるんだよな”と思っていたので、バンドの攻撃力をもっと上げていきたかったし。そこから曲作りが始まったので、やっぱりこのタイミングだったから、こういうアルバムに仕上がったんだと思います。

──生バンドサウンドを主軸としたライヴをやってみて、やっぱりそちらを軸とした曲がほしいと。

逹瑯:今ある曲たちだと、対バンライヴで勝てねえんだよなっていうのもあって。ライヴで戦いたいと思うと、やっぱり攻撃力だから。もっとメンタルを振り切ってグッと入り込める曲とか、振り幅がほしかったんですよね。とはいえ、バンドサウンド的な曲の作り方はMUCCでしか知らないわけだからさ。いろいろやっていったらどんどんサウンドがMUCCみたいになっていって。でも、別にそれでいいやと思ったんだよね。だから、曲作りは楽しくできました。

▲<MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴->
──シングル3作のときは、むしろ「J-POPをやりたい」とおっしゃっていましたよね。

逹瑯:大島こうすけさんと3曲作ってみたからこそ、わかったことや消化できたものがあって。逆に、この3曲という柱がアルバムに立っているから、そのほかでは何やってもいいし、遊べるぞっていう余裕ができたんだと思います。シングルの表題曲3曲が先にあったから、その間をつなげるようなイメージで曲を作っていった感じかな。

──J-POPをしっかりやれて、身になった実感があったんですか?

逹瑯:ありました。そのうえで、J-POPは好きだし歌いたいなと思うし、一方でやっぱり温度感が沸騰してるような、爆発力のある音楽のほうが好きなんだなっていうことを再確認できた感じ。だからこそ、今回のアルバムの中に「ソラノカタチ」というシングル3曲が入っていないと成立しないというかね。シングル曲をアルバムのどこに配置しようか?と悩むんじゃなくて、シングル曲を軸に作っていけたのが良かった。まず最初に、勢いのあるリード曲を作ろうってことで「COLORS」ができて、次に「OVERKILL」だったと思う。

──たしかに、ライヴ仕様な2曲ですね。通算三作目、二回目のアルバム制作ということに関して、迷いはなかったですか。

逹瑯:なかったっすね。むしろ1stアルバムのほうがいろいろ迷ってたかな。とりあえず可能性をいろんな方向で探った結果、さっきも言ったけど、“なんだかぼやけたな。まとまりがねえな”って感じがしてたんですよ。一回やってみてそれがわかったからこそ、今回は方向を定めようということで動き出した感じです。

──そして、アルバム『COLORS』は最終的に、収録楽曲の一部と曲順変更を経て完成しました。それに伴って、当初の予定日からリリースが延期されることにもなりましたが。

逹瑯:諸事情が重なって、予定していたうちの1曲が収録できないという話になったので。その1曲を抜いてそのまま出すのか、どうしようかなあ…とすごく考えました。結果として追加した「CATHARSIS」は、アルバムの制作とほぼ同時期に作っていた曲で、このアルバムに入れるか入れないか悩んでいた曲なんです。ただ、今回のアルバムには曲調が明るすぎるかなと思って入れていなかった。でも、1曲抜いて9曲のアルバムというのもなんだか気持ち悪いし、「CATHARSIS」を入れるなら曲順も変えなきゃいけないなと思って、曲順をいじってかたちにしたんですけど。…まあ、アルバムの表情は180度変わりましたよね。この1曲の違いで。

──取材用に差し替え以前のバージョンも聴かせていただいていましたが、もともと入っていた「PASSCODE」という曲がヘヴィなテイストだったので、「CATHARSIS」に変わったことでポップさが増した印象です。

逹瑯:そう。だから、完成したアルバムのまとまりが悪いわけでは決してないので。当初『COLORS』として出したかった色とは違うけど、これはこれでひとつの作品として成り立っているから。想定していたものから変わったけど、新しい発見もあって良かったなと思います。

▲3rdアルバム『COLORS』
──では、アルバムの収録内容について伺っていきたいと思います。1stアルバムは、初のソロということで挑戦や冒険的な要素が強かった分、今回は逹瑯さんというヴォーカリストの個性をしっかり堪能できる印象があります。ご自身も、X (Twitter)で「アルバム用に曲作りと作詞を進めていくと、どんどん暗い暗黒の曲が仕上がっていく」と書いていましたけど。

逹瑯:さっきも言ったように、“バンドサウンドの曲を作っていこうぜ”となったら、結局、バンドのやり方ってMUCCしか知らないから、どうしてもちょっと激しくて、そういう空気感が漂っている曲が出来上がってくるんですよ。で、そこに歌詞をつけようとすると、ネガティヴな曲になる。俺が曲を作っていくと、必然的にそういう流れになっていくのか…っていうのがわかったのは面白かったですね(笑)。

──25年やってきて刻まれたものが(笑)。

逹瑯:うん。もうDNAに刷り込まれてんだなって。抗うのはやめましょうと思いながら、観念して作ってましたね。“こういうことはMUCCでやってるから、MUCCでやればいいや”じゃなくて、そこも含めての俺なんだから。”選択肢のひとつじゃん”っていう考えに、今はなりました。

──MUCCの25周年ツアーで初期からの曲を辿って、逹瑯さんの歌の歴史を遡ったわけですが、その影響はありました?

逹瑯:そこはあんまりないですね。今回も今までどおり、曲のベーシックを足立(房文)にオーダーして。「こういうタイプの曲がほしい」というところから、「ここの部分をもうちょっとこうしたい」って修正しながら作っているので。MUCCのメンバーとの曲作りとは全然違うし、MUCCでは絶対生まれてこなかった曲たちだから。

──出来上がったものの中に、MUCCで培ってきた経験が自然と反映されていたということなんでしょうね。

逹瑯:そうですね。

■アルバム収録曲が変わるとなったとき■結果的にばっちりハマった

──足立さんに曲のベーシックをオーダーするときは、サウンド面から入るんですか?

逹瑯:空気感とか、温度感とか、具体的に「このアーティストのこういう感じがいい」みたいに伝えることもあります。曲が増えてきたら、「今度はこういうテンポ感の曲がほしい」とか「メロディの感じがほしいから、ちょっと作ってみてくれないかな」っていう感じですね。メロディも最初にある程度イメージを伝えておいて、気になるところをちょっと変えたり。

──オーダーして、それに対するやり取りを経て生み出すような共同作業ですね。

逹瑯:例えば「COLORS」という曲には最初、サビにもちゃんとしたメロディが付いていたんですよ。だけど、シンガロングがいいなと思って、コーラスから入るように変えました。逆に、「お前だよ」は足立がつけてきたメロディそのままなんだけど、サビ終わりをシンガロングにしちゃおうとか。で、激しい曲とはちょっと違う曲もほしいなと思ったので、どうせなら「LASTICA (type RE:)」を入れちまうか、と思って入れたんですよ。本来入れる予定はなかったんですけど、ツアーでガンガンやっていくだろうし。それでバランスが良くなったと思います。

──そのバランス感覚が的確です。“こういう曲がほしい”という発想は、ご自身の感覚で出てくるんですか?

逹瑯:思いつきですかね。それに対して、「こういうことですよね?」っていう足立からの再現度が高いので、「そういうことです!」って。

──全部を自分で決定していくのがソロの面白さであり、大変さでもありますよね。1stアルバムの時は「そこがなかなか大変」とおっしゃっていましたが、楽しめるようになってきましたか?

逹瑯:面倒くさいことは面倒くさいですよ(笑)。誰かが決めてくれることがほぼなくて、みんなお伺いを立ててくれるので。だいたい「いいよー。大丈夫でーす」って言うだけなんですけど。

▲<MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴->
──どういう歌詞を書いて、どのように歌うかも自分で決めるわけですよね?

逹瑯:そうですね。歌詞は、ある程度土台ができた曲を聴きながら、“脳みそのどこが刺激されるかな?”ってイメージを膨らませて書いていって。歌録りに対しては迷うこともありますね。歌い終わってその時はOKだと思っても、後から冷静になってラフミックスを聴いたら“違うな”と思って歌い直したり。「お前だよ」のAメロは二回ぐらい歌い直してます。

──「お前だよ」は、優しいメロディに対して、“♪お前が嫌いなだけ”と突き放した歌詞になっているのが面白いですね。

逹瑯:曲を作ってるとき、俺としては“結構ノレる曲”っていう認識でいたんだけど、足立は「この曲、まったりしてますよね」と言ってて。“その感覚の違いを埋めるのは、歌詞の内容と歌の感じだな”と思ったんですよね。この曲のイメージ通りの言葉を乗せてしまうと、ゆったりした大きい曲になっちゃうから、インパクトのあるちょっとシニカルな詞を乗せたほうがいいぞっていうことで書いていきました。

──最初に作ったという「COLORS」や「OVERKILL」は、ヘヴィなロックナンバーで、歌や歌詞も攻撃的なテイストになっています。

逹瑯:「COLORS」は、曲がバーッと突き進んでいく中で、「COLORS」というタイトルだからこそ、鮮やかなものに囲まれている絶望感を書きたいと思って。新しい色で染められない、選択肢が極端にない状態の息苦しさ、みたいなものを上手くカモフラージュしながら書いていきましたね。

──一方の「OVERKILL」は、いわゆるSNSや世間に対しての苛立ちや毒が伝わってきました。

逹瑯:こういう曲調だったから、トゲトゲした歌詞を書きたいなと思って。基本的に、俺はずっと平和に生きていきたいタイプなので、トゲトゲした感情が剥き出しになっているものには触れたくないんですけど、そういうものってSNSとかインターネット上にすごくたくさん流れてるじゃないですか。こういう感じの世の中はあんまり好きじゃないので、好きじゃないなあという気持ちを書いた歌詞です(笑)。

──いざ書こうと思うと溢れてくるものですか。

逹瑯:そうですね。イヤだな、きらいだなと思う感情って、見たくないだけで、何も感じていないわけじゃないので。それに、何も感じないものは歌にならないですから。好きなものか嫌いなもののほうが歌にしやすいですね。

──このあたりの曲からは、先ほどおっしゃっていたMUCCのDNAを感じます。

逹瑯:違う源流から流れてきて、河口で合流しそうになってるみたいな(笑)。あえて無理やり違うことをやろうと思っても不自然になるし、自然と出てきてしまったなら、これはこれでいいやって感じでしたね。でもソロだと、歌詞に合わせてメロディや譜割りをいじって改造したりとか。自分だけの責任で好き勝手に作ってるという意味では、感覚がまったく違うかもしれない。MUCCでは、他のメンバーはどうかな?とか、メンバーが書いてきた曲に対して、これでいいかな?とか考えるので。歌詞自体も、ソロのほうはMUCCよりかなりリラックスして書いてますね。

▲<MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴->
──そして「CATHARSIS」は、シングル曲に近いポップさがありますが、どのように生まれてきた曲だったんですか?

逹瑯:アプリゲームへの提供曲として作って、別のタイミングでリリースしようと思っていた曲なんです。アプリ側から、世界観の指定とか、“こういう感じの楽曲でお願いします”というオファーがあって。その世界観の中で、生きて考えている自分の言葉として落とし込んでいきました。だから、そのアプリゲームを作っている人たちや、その世界を楽しんでいる人たちにプレゼントする曲というイメージですね。誕生日でも記念日でも、人にプレゼントをあげる時って楽しいじゃないですか。こういうのが好きかな、喜ぶかなって相手のことを考えているうちに、自然と自分の考えも入っていく感じ。

──作品の世界に寄り添いつつ、“♪未来を今 変えに行こう”というフレーズが印象的で。“未来を変えることで、過去の傷が癒える”というメッセージは、誰しもに伝わる普遍的なものですよね。

逹瑯:そうですね。特に、アルバム収録曲が変わるとなったときに、新しく入ってくる曲としては、すごくぴったりだなと思いました。“ネガティヴなことが起きたとき、そこでくよくよしててもしょうがないから、次にいこうよ”という意味では、結果的にばっちりハマったと思います。

──逹瑯さんのそのときの気持ちにも偶然フィットしたと。

逹瑯:はい。気持ちを切り替えて、ここから頑張るかって。

──「お前だよ」と「NOBLE」からまた少し色が変わって、大人っぽいゾーンに入ります。「NOBLE」はインダストリアルなビート感で、今までになかった雰囲気ですね。

逹瑯:「ちょっとミドルテンポで重ための曲がいい」って足立に投げたら、それに対して上がってきたものがすごく好きだったので、そのままアレンジしていきました。歌詞は制作終盤のほうに書いたんだけど、今回、ラブソングがないからラブソングを書きたいなと思ったんですよね。それで、ガキの頃にD'ERLANGERとかBUCK-TICKを聴いて感じていた…官能的なんだけど、下品じゃなくて純粋さがあるようなラブソングにしようと。この歳になってきたら書けそうだなと思って書きました。リアルなんだけど、ファンタジーと官能的エロスと純粋さみたいなものが混ざるようなイメージで。

──そして、ラストはシングルの「残刻」と「ソラノカタチ」で締め括られます。

逹瑯:「残刻」のキラキラしたイントロの中にパーッと入ってくるオリエンタルな感じがエンディングっぽくていいなと。で、曲順変更後、新たに最後を任せられる曲は「ソラノカタチ」しかないと思って決めました。1曲抜けてほかの曲に入れ替わっても、ある程度かたちをちゃんと作れる強い楽曲たちがあってよかったです。

■今までがプロローグで■ここから本当の第一章が始まる

──「エンドロール」から始まったソロ第2章の集大成的な作品になったと思います。ご自身としては、アルバム制作を終えてどう感じていますか。

逹瑯:そうですね。ちょっと何かが見え始めたかな。

──ソロというものに対してですか?

逹瑯:うーん…というより、自分の方向性ですね。今思うと、1stアルバムのときは、とりあえずその場所に立ってみて、そこから動かずに360度見渡して手の届くところのものをかき集めた感じだったんですよ。でも今回は、方向を決めて進みながら、その先にあるものを集めていった。とどまらずにちゃんと先へ進んでいるからこそ、“わかったこと/わからないこと”、“できること/できないこと”がはっきりしたというか。さらにもう一歩二歩次へ進んでいくために、何が必要かわかってきた気がします。今は、この経験をもって、“次に何をどう表現していくのか”という方向に向いていますね。よりヘヴィなものも含めて、もっともっと自由にやっていきたいかな。“迷って、とりあえずあちこちに手を出してみました”という感じじゃなくて、“今の気分はこっちだ”と自分で決めて、自由に歩きたい方向に進んでいく。そういう感じにしていきたいと思っています。

▲アコースティックカバーアルバム『Pandora Juke Vox』
──なるほど。そして、アコースティックカバーアルバム『Pandora Juke Vox』が同時発売されます。逹瑯さんの履歴が感じられるような著名アーティストの曲ばかりですが、選曲はなかなかマニアックですよね。その選曲基準は?

逹瑯:アコースティックライヴとかでやってきた曲から選んで、今回CD化した感じですね。アコースティックでやったら良さそうな曲というのは大前提なんですけど、そのバンドのファンの方が、“このバンドから1曲選んでカバーするのがこの曲なの?”ってびっくりされる曲がいいなと思って。

──そこはあえて、なんですね。

逹瑯:単純に自分がめっちゃ好きな曲でありつつ、誰もが思い浮かべる代表曲ではないところにいきたい気持ちはありました。たとえば、LUNA SEAのトリビュート企画で“「STEAL」をやりたい”と言っても、たぶん難しいでしょ(笑)。めっちゃカッコいい曲だけどね。MUCCのメンバーもみんなそれぞれ好きな曲が違うし、“MUCCがやるんだったら、これをやらなきゃダメでしょ”みたいな感じで、まあ「STEAL」はやってくれないだろうから。

──個人的に懐かしかったのがspeenaの“ジレンマ”で。学生時代にカラオケでよく歌っていたのを思い出しました。

逹瑯:この曲、好きだったんですよ。昔好きだった曲を思い出して久しぶりに聴きたくなるっていうことが、何年かに一回あるんですけど。めったにないそのふとした瞬間が、今回の制作タイミングにきて。“俺、この曲好きだったわ、やりたい!”と思って、結構ギリギリのタイミングだったけど間に合いました。

──名曲ですし、逹瑯さんの声にぴったり合ってると思います。MUCCからは「スーパーヒーロー」のセルフカバーが入っていて。

逹瑯:「スーパーヒーロー」は、アルバム『惡』リリース(2020年6月発表)前のツアーのときに、ちょっと違うバージョンでやっていたんですよ。だけど、アルバムレコーディング用にアレンジを固める時に、どうしてもAメロが入り切らなくてカットになったんです。でも俺は、カットになった部分の歌詞が結構気に入ってて。Aメロからサビにつながる重要なフックになっていたので、ソロのアコースティックライヴでやる時とかはその部分を入れて歌ってたんです。だから、そのバージョンを一回ちゃんと作品に残しておきたいなと思ってレコーディングしたのが、これで。

──そのほか、カバーする中で特に難しかった曲というと?

逹瑯:オリジナルという正解があるからこそ、“じゃあ自分はどう歌うんだ?”っていうところに重点を置いていかないといけないんですよね、カバーって。いろんな人の曲を歌ってみて思ったのは、L'Arc-en-Cielのhydeさんはロックバンドのヴォーカリストとして俺と対極のところにいるかもしれないなって。

──hydeさんと対極と言いますと?

逹瑯:自分の持っている声の種類や使い方、アプローチの仕方とかが真逆で、「夏の憂鬱 [time to say good-bye]」は難しかったです。L'Arc-en-Cielの曲は、自分の味でいこうと思うとハマらないんですよ。で、自分の味を活かせないなら、きれいに歌おうとすると、hydeさんの影を追ってるカラオケみたいになる。改めてL'Arc-en-Cielはすごいと思ったのは、メンバーがhydeさんに向けてhydeさんが歌うべき曲を作ってるのを感じたことで。逆にhydeさんが歌うMUCCってどうなるんだろうな…全然想像できないですね。

▲<MUCC THE END OF 25th COUNT DOWN FAMILY PARTY -逝く年 狂年 Lightの宴->
──ぜひ聴いてみたいところです。1stアルバムのときも2枚同時リリースで驚かされましたが、今回も充実した2枚のアルバムが完成しましたね。

逹瑯:アコースティックのカバーアルバムはいつか出したいなと思っていたんですけど、“いつか”と思っていたらまず一生やらないから、“じゃあ今やっちゃえ”って。ソロは動けるタイミングが限られているし、動ける時に全部出さないと。

──それをこのスケジュール感でやり切るバイタリティはさすがです。

逹瑯:いや、ナメてましたね。アコースティックのほうに関しては、作業が始まったのが今年2月からだったので。超死にそうになりながらレコーディングしてました(笑)。あと1週間くらいほしかったけど、アコースティックカバーアルバムの制作最終日の翌日が、もうMUCCのシングルの選曲会だったんですよ。そこからMUCCのプリプロとかも始まってるんで、それとアコースティックは両立できないし。

──たしかに、MUCCのニューシングル発売は年末の時点で発表済でした。

逹瑯:MUCCのほうもちょっとマニアックな曲になってますよ。

──楽しみです。その前に、3月からはソロの全国ツアーが始まりますね。

逹瑯:アルバムリリース前にツアーが始まることになったけど、配信が先にスタートするので、それで聴いてもらえればと思います。

──どんなツアーにしていきたいですか。

逹瑯:大晦日のイベントはあったけど、実はちゃんとしたソロのライヴで、お客さんの声アリはまだやったことがないんですよ。今回のアルバムの曲が加わって、ライヴの感じがどう変わるかが楽しみですね。ツアーらしいツアーも初めてだし、これが1stツアーみたいな気持ちです。今までがプロローグで、ここからやっと本当の第一章が始まるイメージがあるんですよね、やっと方向性が定まったから。テンションでグッと持っていって、しっかり入り込んで、理性が吹っ飛ぶ瞬間が生まれるようなライヴができたらいいなと思います。今までは、“楽しかったね”っていうライトな感じで終わりがちだったので、“楽しかった”だけでは終わらないライヴにしたいですね。

取材・文◎後藤寛子

■3rdアルバム『COLORS』

▲通常盤

▲会場&オフィシャル通販盤
2024年4月3日(水)発売
【通常盤】DCCA-125 3,500円(税込)
※CD購入者を対象としたインストアイベントの開催決定
【会場&オフィシャル通販盤】DCCA-124 4,500円(税込)
※CD デジパック仕様
※CD購入者を対象としたオンラインイベントの開催決定
MAVERIC STORE:https://www.maverick-stores.com/tatsuro/
▼収録曲
01. introduction
02. COLORS
03. LASTICA type RE:
04. OVERKILL
05. エンドロール
06. CATHARSIS
07. お前だよ
08. NOBLE
09. 残刻
10. ソラノカタチ

■カバーアルバム『Pandora Juke Vox』

▲会場&オフィシャル通販盤
2024年3月13日(水)発売
【会場&オフィシャル通販限定販売】DCCA-123 3,500円(税込)
※CD購入者を対象としたオンラインイベントの開催決定
MAVERIC STORE:https://www.maverick-stores.com/tatsuro/
▼収録曲
01. スローバラード (RCサクセション)
02. SO YOUNG (THE YELLOW MONKEY)
03. 歩く花 (THE BLUE HEARTS)
04. 夏の憂鬱 [time to say good-bye] (L'Arc-en-Ciel)
05. STEAL (LUNA SEA)
06. 至上のゆりかご (黒夢)
07. 女神 (BUCK-TICK)
08. ジレンマ (speena)
09. カーテンコール (GLAY)
10. スーパーヒーロー (MUCC)

■インストアイベント

※終了したイベントは割愛
4月01日(月) 18:00~
タワーレコード仙台パルコ店 店内イベントスペース
4月08日(月) 18:00~
タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
4月15日(月) 13:00~
タワーレコード梅田NU茶屋町 店内イベントスペース
4月29日(月/祝) 13:00~
タワーレコード水戸オーパ店 5F ARTcityHall
対象商品:3rdアルバム『COLORS』通常盤 DCCA-125 3,500円(税込)
※予約受付開始:1月26日(金)12:00~
イベント内容:特製[COLORS]ポストカード全5種の中からお好きな柄1枚を選んでいただき、お名前とサインを入れてお渡しします。

■オンラインイベント

対象商品:
・3rdアルバム『COLORS』会場&オフィシャル通販盤 DCCA-124 4,500円(税込)
・会場&オフィシャル通販限定販売カバーアルバム『Pandora Juke Vox』 DCCA-123 3,500円(税込)
※予約受付開始:1月26日(金)12:00~
イベント内容:Web会議サービス“Zoom”を使用してCD1枚ご購入につき90秒間、逹瑯と1対1でお話しいただけます。
※詳細はオフィシャルサイトへ

■<逹瑯LIVE HOUSE TOUR [The COLORS]>

3月30日(土) 柏PALOOZA
open16:15 / start17:00
(問)柏パルーザ 04-7136-2111
3月31日(日) 仙台MACANA
open16:15 / start17:00
(問)仙台MACANA 022-262-5454
4月06日(土) 静岡Sunash
open16:15 / start17:00
(問)静岡Sunash 054-288-0880
4月07日(日) 名古屋CLUB UPSET
open16:15 / start17:00
(問)名古屋CLUB UPSET 052-763-5439
4月13日(土) LIVE HOUSE image
open16:15 / start17:00
(問)LIVE HOUSE image 086-236-0032
4月14日(日) OSAKA MUSE
open16:15 / start17:00
(問)OSAKA MUSE 06-6245-5389
4月20日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
open16:15 / start17:00
(問)新横浜NEW SIDE BEACH!! 045-474-2144
4月21日(日) LIQUIDROOM
open16:15 / start17:00
(問)DISK GARAGE https://info.diskgarage.com/
4月27日(土) 水戸ライトハウス
open16:15 / start17:00
(問)水戸LIGHT HOUSE 029-224-7622
4月28日(日)水戸ライトハウス
open16:15 / start17:00
(問)水戸LIGHT HOUSE 029-224-7622
▼サポートメンバー
G:結生(メリー)
G:奈緒(ΛrlequiΩ)
B:リウ(メトロノーム)
Dr:宏崇
Vn:後藤泰観
Key:足立房文
▼チケット
・前売 6,800円(税込)
・当日 7,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
https://eplus.jp/tatsuro2024colors

■<逹瑯ACOUSTIC TOUR [Pandora Juke Vox]>

3月29日(金) 渋谷STAR LOUNGE
open18:30 / start19:00
(問)渋谷STAR LOUNGE 03-6277-5373
4月05日(金) 静岡Sunash
open18:30 / start19:00
(問)静岡Sunash 054-288-0880
4月12日(金) LIVE HOUSE image
open18:30 / start19:00
(問)LIVE HOUSE image 086-236-0032
4月19日(金) 月見ル君想フ
open18:30 / start19:00
(問)月見ル君想フ 03-5474-8115
4月26日(金) 水戸ライトハウス
open18:30 / start19:00
(問)水戸LIGHT HOUSE 029-224-7622
▼サポートメンバー
G:結生(メリー)
Vn:後藤泰観
Key:足立房文
▼チケット
・前売 5,800円(税込)
・当日 6,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
https://eplus.jp/tatsuro2024pandra

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