ワクチン未接種の消防職員にハラスメント 消防本部トップと消防次長を停職処分に

消防長らの懲戒処分で会見を開く甲賀広域行政組合管理者の生田邦夫湖南市長(中央)ら=甲賀市・同組合消防本部

 甲賀広域行政組合消防本部(甲賀消防、滋賀県甲賀市)が新型コロナウイルスワクチン未接種の職員を接種済み職員と区別して業務にあたらせた問題などのハラスメントを巡り、同組合は28日、適格性に欠けた判断をしたなどとして消防本部トップの消防長(60)を停職3カ月、消防次長(53)を停職6カ月の懲戒処分とした。消防長は同日付で依願退職した。

 組合によると、消防長は2021年5月、ワクチン接種を拒否した職員を隔離する業務区分を容認し、個人が特定できる文書を全職員に回覧した。職員は同8月末に依願退職した。ほかにも、機材を破損させた職員に修繕費用の半額にあたる約38万円を支払わせるなどした。

 消防次長は18年以降、特定の職員に対し降任を迫ったり、根拠のない反省文の作成を強要した。職員や家族の人格を否定する発言や、職員の首をつかんで押すなどの暴力的行為もあったという。

 組合は消防長が76件、消防次長が177件のハラスメントを行ったと認定。2人は一部を認めているという。組合は同日付で消防長と消防次長を降任する分限処分も行った。

 組合のハラスメントを検証していた第三者委員会が15日、厳正な処分を求める最終報告書を答申していた。

 組合管理者の生田邦夫・滋賀県湖南市長は「苦しい思いをされた人が辞められたことは申し訳ない。組織の課題をなるべく早く解決したい」と述べた。

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