「核攻撃衛星」開発を阻止 日米の安保理決議、草案が判明

国連安保理の閣僚級会合で議長を務める上川陽子外相(前列中央)=18日、ニューヨーク(共同)

 【ニューヨーク共同】核兵器などの宇宙配備の阻止に向け、日本と米国が国連安全保障理事会で採択を目指す決議の草案が28日、判明した。人工衛星を攻撃する「キラー衛星」への核兵器導入をロシアが模索しているとの危機感を背景に「地球周回軌道への配備を目的とした、核兵器やいかなる大量破壊兵器の開発もしない」よう求める条項を盛り込んだ。核兵器搭載攻撃衛星の開発を阻止する狙いだ。

 宇宙開発は、ウクライナに侵攻し核の脅威を高めてきたロシアのほか中国なども活発に推進。日米は拘束力を持つ安保理決議で、核軍拡競争の宇宙への拡大抑制を図る。岸田文雄首相とバイデン米大統領もこうした方針を4月の首脳会談で確認する方向だ。

 決議案採決の時期は未定。114カ国・地域が参加する宇宙条約は、宇宙や月の平和利用を定め核配備を既に禁じている。だが拒否権を持つ常任理事国ロシアは日米の決議草案に反対の姿勢。安保理筋によると調整が進められているが、採択できるかどうかは不透明だ。

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