【全国ミニバス】133cmの子兵が魅せた2つのクラッチプレー 雀宮スポーツ少年団#7穴井紗那

自慢の守備で20cm以上大きい相手エースを徹底マーク!

3月28〜31日にかけて、代々木国立競技場第一体育館と第二体育館で開催されている「第55回全国ミニバスケットボール大会」。女子初日の第5試合で、133cmの小兵が大きなインパクトを残した。栃木県代表・雀宮スポーツ少年団の5年生、#7 穴井紗那だ。

主力のほとんどが150cm台前半と小柄なチームの中でも一際小柄な彼女だが、長野県代表・西部グリーンスパンキーズのとの対戦で勝敗を左右するビッグプレーを連発した。スタッツはシュート成功ゼロのフリースローによる5得点に、リバウンド1本、ファウル1つと目立つものではなかったが、特にディフェンスでの貢献度はチーム随一だった。

コートに立っている間は、終始相手エースの#4 宮下遥安を密着マーク。157cmと、自分よりも24cmも大きな相手のドリブルレーンに食い込んで思うようなプレーをさせなかった。「コーチから相手の4番のマークをしなさいと言われました。チームとして相手に内側にドライブ(ミドルドライブ)させないようにしていて、私もそれを頑張りました」と穴井。

もともとディフェンスを得意としており、「相手のオフェンスの足の方向を見て守るようにしています。自分でやってみようと思ってそういうディフェンスをしています」と、5年生ながらしっかりと相手の動きを読んだクレバーなディフェンスをしている。

「小さくてもやれることを見せているのが素敵だなと思う」と、憧れるのは日本代表の河村勇輝(横浜BC)。河村のように大柄な相手にも臆することなく前からプレッシャーをかけるディフェンスは最終盤でのチームの勝利につながっている。

この試合は4Q残り30秒を切って35-35の同点だった。そこからフリースローを2本決めた雀宮が37-35とリード。最後のポゼッションで相手チームは当然エースの宮下にボールを託すわけだが、そこで立ち塞がったのが穴井。前線から激しくプレッシャーをかけ、一度は振り切られかけたものの、最後まで懸命にシュートコンテスト。穴井の踏ん張りもあって同点を狙った宮下のシュートはリングの手前をかすめるにとどまり、雀宮はうれしい大会初勝利をゲットしたのだ。

そして、このプレーに加えてもう一つ、穴井は勝利を決定付けるプレーを決めている。それが、前述した同点の場面で放ったフリースローだ。35-35の場面で左のウィングでパスを受けた穴井は、鋭いミートドライブで自分よりも大柄な選手の間に割って入り、シュートファウルを獲得。

「めっちゃ緊張しましたが、プレッシャーに勝ててよかった」と、緊迫した場面で冷静に2本のフリースローをそろえたのだった。

試合後には勝利を喜びつつも「左手のドリブルがまだ苦手なので、もっと自主練をして上手になっていきたいです」と、自身の課題を口にする穴井。その向上心とアンダーサイズをものともしない勇敢なプレーは、明日も代々木第一体育館を沸かせてくれるに違いない。

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