「優勝して」「任せとけ」 星稜、航空石川主将とメッセージ交換

ベスト4を決め笑顔でアルプススタンドの応援団にあいさつする芦硲選手(右端)ら星稜ナイン=甲子園

  ●能登の思い託され、「被災地代表」原動力に

 被災地への思いを原動力に、石川県勢初の春4強入りを果たした。28日、阿南光(あなんひかり)(徳島)を破り、準決勝進出を決めた星稜。試合前、主将・芦硲(あしさこ)晃太選手のもとには1回戦で敗れた航空石川主将・寳田(ほうだ)一慧(いっけい)選手からメッセージが届いていた。「絶対に優勝してくれ」。思いを託されたナインは「石川は負けない」と奮起し、快勝で新たな歴史を刻んだ。

 芦硲選手のLINE(ライン)に寳田選手からメッセージが届いたのは、航空石川が敗れ、星稜が8強に進んだ25日夜だった。芦硲選手は宿舎でスマホを確認し、「任せとけ」と返信。さらに、夏の甲子園を見据え「これからは同じ県のライバル。お互いに頑張っていこう」と伝えた。

 航空石川が敗れたことで、「被災地代表」としてナインのやる気はがぜん高まった。山下智将監督は選手へのプレッシャーを心配するが、芦硲選手は試合前、「応援されて重圧になることは全然ない。ありがたいことと感謝しながらプレーしている」と言い切った。

 能登では今も大勢の人が苦しい生活を送っている。野球をしたくてもできない高校生もいる。芦硲選手は、そうした中でも甲子園でプレーできることに感謝し、「しっかり全力でやろう」とチームを鼓舞した。

 28日、2安打完封で勝利を呼び込んだ戸田慶星(けいた)投手は試合後、「被災地の方に元気を届けられたのであれば、よかった」と笑顔。七尾の祖父母宅が地震で損壊した能美誠也捕手は、守備に加え、2安打2盗塁と攻撃でも気を吐いた。

 準決勝に向け、芦硲選手は「笑顔で楽しく全力でプレーして勝ちきれば見てくれる人も笑顔になってくれる」と意気込みを語った。

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