心潤す美の力再認識 現代美術展29日から一般公開 県立美術館・金沢21美

大賞作の洋画を鑑賞する開場式出席者=金沢市の石川県立美術館

  ●80回の節目開場式で祝福 

 第80回現代美術展(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社、一般財団法人県芸術文化協会など主催)の開場式は28日、金沢市の県立美術館で行われた。出席者は美術工芸王国に春を告げる節目の幕開けを祝うとともに、能登半島地震に思いをはせた作品や清新な若手の意欲作を鑑賞し、心を潤す美の力を再認識した。同館と金沢21世紀美術館で29日午前9時半に一般公開が始まる。

 県美術文化協会長の飛田秀一北國新聞社名誉会長はあいさつで、展示作品1103点の中に奥能登の委嘱作家12人の作品が含まれることを紹介。当初、被災した作家については北國新聞社の所蔵品などを展示する計画だったものの、各作家から新作が出品されたとし「その情熱に改めて敬意を表したい」と述べた。

 今回展は短大・大学・大学院の学生、高校生の入選が63点と過去10年で最多となり、人数は金沢学院、金沢美大、金大の順に多かった。金沢学院大附属高と野々市明倫高の16歳2人が最年少で入選し、1人で日本画と彫刻の2部門に入選した金沢学院大生もいた。

 飛田会長はこうした若手の活躍に触れ「現美は80回で終わりではなく今後も続けないといけない。頼もしい傾向が続いていることをうれしく思う」と話した。

 来賓の馳浩知事は「県民が現美で勇気を得て前向きになり、能登の作家を応援する。その好循環が必要だ」、村山卓金沢市長は「北陸新幹線敦賀開業を芸術の力を発信する機会とし、文化観光につなげたい」とそれぞれ祝辞を述べた。

 バイオリンの竹田樹莉果さん、ビオラの古宮山由里さんによる弦楽二重奏が式典に花を添えた。

 現代美術展は4月15日まで。委嘱と一般の部の6部門があり、県立美術館に洋画、彫刻、工芸、写真、金沢21世紀美術館に日本画、書が展示される。

開場式に花を添えた二重奏

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