堺市/中央図書館機能を大仙公園付近と都心に分散、24年度に移転先選定へ

堺市は市立中央図書館(堺区大仙中町18の1)の建て替え計画の方向性を決めた。現在の中央図書館がある大仙公園周辺エリア付近に新たな中央図書館機能を確保するとともに、現在の中央図書館が兼ね備えている堺区の地域図書館機能を分離し、同市都心部・堺区に地域図書館を新設する計画だ。建て替え計画の市関係部局担当者でつくるプロジェクトチームが2023年に検討してきた。24年度は各施設の規模などを詰め、2カ所の移転先を選定する。
現在、中央図書館は世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」の仁徳天皇陵などがある大仙公園にあり、現在地での建て替えは不可能となっている。現在の施設の敷地面積は約4600平方メートル。
1971年に完成した中央図書館を巡っては、所管する教育委員会が内部検討を進めていた。老朽化が進み、設備やバリアフリーへの対応も十分でないという。同委員会所管の市有地で移転候補地がなかったため、プロジェクトチームでの検討に移行した。建て替え手法を検討するとともに、移転先の情報交換などを行っていた。
日本図書館協会のホームページによると、自治体の図書館システムは、中核施設の中央図書館と、地域図書館、移動図書館で構成すると記載。
市は、中核施設としての機能と、堺区の図書館の機能を兼ね備える形で中央図書館を運用してきたが、プロジェクトチームの議論で、それぞれの機能を分離する案が浮上した。
現在、地域図書館が無い堺区民らの図書ニーズに対応するため、JR西日本阪和線堺市駅近くの中央図書館堺市駅前分館や、南海電気鉄道高野線堺東駅近くの図書館カウンター堺東なども設けている。
中央図書館は、元大阪市立大学(現・大阪公立大学)工学部建築学科教授の栗原嘉一郎氏が基本設計と監修に関わった。大仙陵古墳など百舌鳥古墳群がある地区の一角に設けられており、古墳や高床式倉庫を想像させるデザインが採用された。規模はRC造4階建て延べ4635平方メートル。堺の郷土資料や個人コレクションも所蔵。蔵書は約57万点に及ぶ。耐震改修工事は既に行っている。

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