鹿島/ダム材料の表面水量を全量管理するシステム開発、試験要員を9割削減

鹿島は、ダム工事などで使用する材料の表面水量を全量管理するシステムを開発し、品質管理業務の省力化を実現した。秋田県東成瀬村で施工中の成瀬ダム堤体打設工事(国土交通省発注)に試験導入。現場発生土材(石や砂れき)やセメント、水などを混合した材料「CSG」の品質管理に関する試験業務の要員を約9割削減できることを確認した。連続供給されるCSG材全量の品質を途切れることなく管理している。
CSG材の表面数量は、CSGの品質を管理する上で重要な指標の一つ。測定した粒度分布と含水率から算出する。同社は今回、「AI画像粒度モニタリングシステム」と、近赤外線水分計による含水率の全量管理技術を組み合わせた。
地盤材料の画像から土粒子の輪郭を識別し解析することで、対象材料の粒度分布を測定する。土粒子の形状や色調を事前に機械学習したAIが画像内の土粒子を認識。画像上での各土粒子の大きさ(ピクセル数)を基に対象材料の粒度分布を求める。
近赤外線水分計は、水が特定の波長の赤外線を強く吸収する性質を利用し、物質に光が吸収される度合い(吸光度)を測定。対象材料の含水率を算出する。
試験導入では、成瀬ダムの現場にある3系統のCSG製造設備のベルトコンベヤーに、AI画像粒度モニタリングシステム6基と近赤外線水分計2基を設置した。CSG材の粒度分布と含水率の変動監視を行った結果、品質管理業務に携わる人員を約9割削減。1時間当たり平均300立方メートルで連続供給されるCSG材を撮影し、全量の品質を間断なく管理できた。算出されたCSG材の表面水量は、従来の試験と同等の測定精度であることも確認した。
測定結果を受け、AI画像粒度モニタリングシステムは先行して2023年10月末に実運用を開始。昼夜を問わず1、2時間に1回の頻度で実施していた従来の粒度試験が1日1回で済むようになり、試験員の負担を大幅に低減した。近赤外線水分計による含水率の全量管理技術も4月からの採用が決まっている。
同社は今後、同システムを造成工事などダム以外の工事にも広く展開していく方針だ。

© 日刊建設工業新聞社