宝塚歌劇団の謝罪が遅れた背景に〝パワハラ人物〟の猛反発 遺族代理人「交渉長引かせた」

会見をする川人博弁護士(左)と井上耕史弁護士

急死した宝塚歌劇団の劇団員の遺族代理人を務める川人博弁護士らが28日、東京都内で記者会見を開いた。

2023年9月30日に宝塚劇団員が急死した問題をめぐって遺族と阪急阪神ホールディングス株式会社、阪急電鉄株式会社、宝塚歌劇団との間で同日、大阪市内のホテルで合意書が締結された。阪急阪神ホールディングス株式会社の角和夫会長も出席し、本件について遺族に対して謝罪した。

阪急・劇団側は23年に発表した調査報告書で「パワハラはなかった」との見解を示していたが、本合意書においてパワハラを認めた。「2021年8月14日、宙組上級生が、被災者が自分でやることを望んでいたにもかかわらずヘアアイロンで被災者の髪を巻こうとして、被災者の額に1か月を超えて痕が残るほどの火傷を負わせたこと、及び、それにもかかわらず、当該宙組上級生は、真に被災者の気持ちを汲んだ気遣い・謝罪を行わなかったこと」などパワハラに該当する14項目の行為があったという。

パワハラには宙組の幹部上級生4人、上級生3人、プロデューサー2人、演出家1人の計10人が関わっており、6人が謝罪文を提出。ヘアアイロンでやけどをさせた上級生も提出予定だという。

合意が長引いた理由について川人弁護士は「パワハラがなかったという報告書が出たことが摩訶不思議な話」と指摘。さらに「パワハラ行為者は事実関係を強く否認して、劇団がそれを代弁する形になったのが交渉を長引かせた要因」と述べた。

劇団の改善点についても「すべきことは無数にある」と強い口調で語った。

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