消えゆく瓶入り牛乳 900ミリリットルも生産終える 広島市佐伯区の「砂谷」で洗瓶機供養

神事を執り行い、役目を終えた洗瓶機をねぎらった砂谷の瓶の卒業式

 広島県内で唯一、瓶入り牛乳の製造・宅配を続ける広島市佐伯区湯来町の砂谷が28日、900ミリリットルの瓶牛乳の生産を終えた。大型洗瓶機の老朽化に伴い、昨年6月末の500ミリリットルに続く幕引き。関係者で機械を供養する「瓶の卒業式」をした。

 900ミリリットルの瓶牛乳は同社の主力で、週6千本を製造。ほとんどが家庭への宅配用だった。紙パック入りなどが主流となり、瓶入りの需要が落ち込む中、多額の費用がかかる洗瓶機の更新を断念した。瓶入りは今後、別の洗瓶機を使う200ミリリットルに限り生産を続ける。

 瓶の卒業式には、社員や関係者ら約30人が出席。この日瓶詰めした牛乳を置いた祭壇を前に神事を執り行い、約40年稼働したライン設備をねぎらった。同社の久保宏輔副社長(40)は「瓶の終了はこの10年ずっと悩んできた。お客さんに申し訳ない気持ちもあるが、大切な役割を果たしてくれた機械をしっかり送ることができた」と話した。

 農林水産省がまとめた2022年10月の全国の飲用牛乳生産量のうち瓶入りは2・6%。県内では0・7%にとどまる。乳製品メーカーでは瓶牛乳の生産をやめる動きが目立ち、21年の小岩井乳業(東京)に続き、森永乳業も今月末で販売を終える。

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