『四月になれば彼女は』山田智和監督、森七菜さんにインタビュー

多彩な恋愛観に自分自身を重ね合わせながら観てほしい

監督 山田智和さん・森七菜さん

公開中の映画『四月になれば彼女は』。映画プロデューサーで作家の川村元気さんのベストセラー小説を映画化した作品で、10年にわたる恋愛と別れを壮大なスケールで描いたラブストーリーです。佐藤健さん、長澤まさみさん、森七菜さんの共演でも注目されています。今作ではじめて長編映画作品のメガホンをとった映像作家の山田智和(トモカズ)さん、主人公のかつての恋人である伊予田春を演じた森七菜さんに、撮影裏話や見どころについてお話をお聞きしました。

─山田監督にお聞きします。原作を読んだ時の印象は?

恋愛でのキラキラした部分と残酷な一面と、両方を描いている作品だなと思いました。主人公とちょうど同世代というのもあり、〝現代の恋愛〟をどう描くかという部分でも共感しましたね。また、海外含め、魅力的なロケーションがたくさん出てくるので「映像化に挑戦してみたい!」と感じました。

─普段手がけているMV(ミュージックビデオ)との違いは?


原作者の川村元気さんからは、「智和くんの作品がとても好きだから、得意技を存分に発揮してほしい」と背中を押してもらったので、気負いすぎず、自然に撮影に入ることができました。

ただ、実際に撮影を始めてみると、俳優のみなさんの演技がすばらしくて、演技に風景が呼応するような瞬間を何度も体験しました。景色の中に人物が加わることによって、波や空、陽の光の意味が変わってくるんです。ロケーションじゃなくて、やっぱり〝人〟が大事だというのは、今回の撮影で得た発見ですね。作品中の森さんのセリフ「見えないものを撮りたい」という思いを、僕自身も実感しました。

─森七菜さんとの海外ロケは?

チェコ、アイスランド、ボリビアなど21日間で計10カ国を訪れました。本当に過酷なロケで、一瞬の晴れ間を狙う「奇跡待ち」みたいな時間もあって。そんな状況でも森さんが「私はいつカメラがまわっても大丈夫ですよ」というスタンスでいてくださったのが、本当にありがたかったです。大変さを微塵もみせない覚悟を感じました。そのおかげで、想定していた以上の表情が生まれたシーンがたくさんあります。


─森さんにお聞きします。初めての海外ロケの感想は?

一言でいうと過酷(笑)。アイスランドはマイナス20度で極寒。ボリビアのウユニは富士山よりも標高が高くて、昼は真夏の暑さですが、夜はものすごく寒くて。また、大勢のスタッフさんの中でキャストは私だけなので、「失敗できない…!」というプレッシャーもありました。環境が過酷だからこそ、チームがギュッと結束できたと思います。

そうした極限状態で撮影を重ねていくと、いいタイミングで雲が晴れるなど、それこそ奇跡のような瞬間に出合うんです。まるで自然が味方になってくれたような心強さを感じました。

─伊予田春という登場人物については?


私にないものをたくさん持っている人だなと思います。そしてすごく芯が強い。だから一人でも立っていられる。でも、欠けている部分もあって、そこが切なさを感じる部分でもあるし、春の魅力でもありますよね。

─佐藤健さんとのシーンはアドリブが多かったとか


セリフがきっちり決まっていないというか、カメラが回って、初めてそのセリフを会話するといったシーンも多かったですね。大学の先輩と後輩として出会うんですが、最初はあまり話すこともなくて、でもだんだん距離を縮めていくという雰囲気が自然に表現できたと思います。


─あらためて見どころを教えてください


<監督 山田智和さん>多彩な恋愛の価値観を持った魅力的な人物がたくさん登場する映画。見てくださった人それぞれの〝恋愛とは何か〟という問いにつながるヒントを受け取っていただければうれしい。また、森さんと一緒に、必死に追いかけた世界各国の景色の美しさと、藤井風さんの主題歌含め素晴らしい音楽にもぜひ注目してください。

<森七菜さん>

映画のキャッチコピー「それでも人は恋をする」の言葉を感じられるシーンが、観た人それぞれに必ずあると思います。自分にとっての恋愛観を重ね合わせながらぜひ見てほしいですし、女子会の前などに観ていただけると、そのあとかなり盛り上がってもらえるんじゃないかなと思います!

『四月になれば彼女は』

全国東宝系にて公開中

原作:川村元気「四月なれば彼女は」(文春文庫)

出演:佐藤健 長澤まさみ 森七菜

仲野太賀 中島歩 河合優実 ともさかりえ

竹野内豊

配給:東宝

©2024「四月になれば彼女は」製作委員会

https://4gatsu-movie.toho.co.jp/

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