【3月29日付編集日記】造語

 「マイブーム」や「ゆるキャラ」などの言葉を発案したイラストレーターのみうらじゅんさんは、あえて矛盾する単語を結び付けて言葉を作るそうだ。大勢の人が夢中になるブームと、自分一人を指すマイを合成したのも、その手法だ

 ▼A+Bのように、ただ単語を合わせるだけでもない。マイブームの場合は、「自分をなくす」ほど我を忘れて夢中になる―というように新たな解釈などを加え、独特の世界感を生み出している(「『ない仕事』の作り方」文芸春秋)

 ▼環境省が推進している脱炭素社会を目指す国民運動「デコ活」について、7割超の人が「聞いたことがない」「分からない」と答えたとの調査結果が出された。昨夏に公募で集まった約8千件から選ばれた造語だが、認知度はかなり低い

 ▼英語で脱炭素を意味する「デカーボナイゼーション」と環境の「エコ」に、終活や婚活などで使われる「○活」を合わせた。デコと聞くと顔のひたいや派手に装飾されたトラック「デコトラ」などの印象が強く、脱炭素の世界とは縁遠い

 ▼環境省には「クールビズ」などの成功事例はあるが、既存の単語を合体しただけでは限界がある。役所のマイブームで終わるのかもと少し心配だ。

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