文理大生制作の動画が日本国際観光映像祭で学生部門最高賞 一文人形の作家らに焦点【大分県】

優秀学生映像賞を受賞した動画「一文人形~大分の郷土玩具」のワンシーン
動画の撮影に励む向井亮悟さん(前列右)ら

 【大分】大分市一木の日本文理大(NBU)工学部情報メディア学科4年の向井亮悟さん(22)がディレクターを務めた動画「一文人形~大分の郷土玩具」が、第6回日本国際観光映像祭で優秀学生映像賞を受賞した。学生部門の最高賞。地域資源を掘り起こし、伝統文化を守るために取り組む人たちの姿や思いなど、背景のストーリーを丁寧に描いた点が評価された。

 同映像祭は国内外の優れた観光映像を表彰している。今年は3月13~15日に北海道で開催。日本部門には242作品の応募があった。そのうち学生部門の31作品から入賞作6点を選び、審査員の点数で最高賞を決めた。

 「一文人形」の動画(4分41秒)は、江戸時代に郷土玩具として作られ、柞原八幡宮(同市)の仲秋祭「浜の市」の名物になっている人形を絶やすまいと、唯一制作を続ける作家らに焦点を当てた作品。土こね、形成、素焼き、絵付けまで全工程を追うため何度も作家の元に通い、販売する民芸店や、人形の魅力を伝える活動に取り組む人にも取材した。

 新聞で一文人形を知り、調べるうちに継承者不足に悩まされていることが分かった。「映像を通じて多くの人に現状を伝えたい」と研究室の仲間10人ほどでチームを組んで制作。企画立案から完成まで1年近くを費やしたという。「どうすれば見る人に楽しんでもらえる演出ができるか、最後の最後まで悩んだ」と振り返る。

 指導した小島康史教授(61)は「労を惜しまず、時間をかけて撮影した取材の厚みが作品に反映された」と頑張りをたたえた。

 受賞の知らせに「まさか賞を取れるとは思わなかった。長期間にわたって仲間と作り上げただけにうれしい」と向井さん。

 宮崎県出身。4月からは東京都の映像制作会社で働く。「作品の制作を通して学んだことや経験を、仕事に生かしていきたい」と声を弾ませた。

 受賞した動画は大分合同新聞プレミアムオンライン「Gate」内の「地域の芽、学生の目 NBUビデオ通信」で公開している。

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