アングル:チョコ大手、カカオ価格高騰で復活祭は他商品に注力

(英文の再送により、文中の「ニールセン」を「ニールセンIQ」に修正します)

Jessica DiNapoli Maytaal Angel Richa Naidu

[ニューヨーク/ロンドン 26日 ロイター] - カカオ価格が高騰して菓子メーカーの利益を脅かし、消費者が高価格商品を敬遠していることから、米ハーシーや米モンデリーズなどのメーカーはイースター(復活祭)向け商品としてチョコレート以外の菓子に力を入れている。

業界のデータによると、コンビニや食料品店のレジでチョコレートやキャンディーの「衝動買い」が減少しているため、イースターやハロウィーンのような特別な日は、企業の売り上げにとって重要性を増している。

ところが、西アフリカの病害が悪化の一途をたどっているため、ココア価格は過去1年間で3倍に跳ね上がった。砂糖価格も7%ほど上昇している。

チョコレートメーカーは昨年から、今年のイースターで再度値上げを行う計画を明らかにしていたが、価格ヘッジが今年後半と来年に期限切れとなるため、利益率はさらに圧迫される見通しだ。

インフレに苦しむ消費者は既に値上げに反発しており、鍵を握るのは季節商戦の売り上げだ。全米菓子協会によると、世界最大のチョコレート消費国である米国では、イースターのキャンディーの売り上げが、少なくとも昨年並みの約54億ドルに達すると予想されているが、その原動力のほとんどは販売量ではなく値上げによるものだという。

協会によれば、イースターはハロウィーン、クリスマスシーズンに次いで米国でチョコレートやキャンディーを購入する3番目に大きな機会だ。

協会のデータを見ると、昨年、日常的な機会に売れたチョコレートとキャンディーの量は、前年比で3.6%減少した。イースターのような季節の行事用に販売された量は0.1%とわずかに増加した。

ブランチ社は、カカオ豆の高騰が続いていることから、この傾向は続くだろうと予測している。

ハーシーは今年のイースター向けに、代表的なチョコレートバニーとチョコレートエッグ(うさぎ型やたまご型のチョコレート菓子)商品に加え、カカオ以外の菓子の出荷を増やしている。クッキー&クリームのバニーやキットカットの「レモンクリスプ・バー」などに新たなサイズを加えた。

モンデリーズの英国季節菓子担当マーケティング・ディレクター、サイモン・クラウザー氏によると、同社はチョコレート消費に前向きな年上世代や富裕層向けに「キャドバリー究極の卵」シリーズなどを導入した。

<割り引き>

調査分析会社データウィーブによると、米小売業者は今年のイースターを控え、キャドバリーやハーシーズ、M&M、リンツといったチョコレート商品の割引を昨年よりも増やしている。

独立系コンサルタントのジョン・エーメント氏は、消費者が値上げを嫌気しているため、今年のイースターに昨年よりもチョコレートが大幅値引きされるのは間違いないと話す。昨年よりも厳しいシーズンになるとみられ、「(チョコレート産業は)今後1年は成長があるとしても減速するだろう」という。

値上げを押し通すのは難しくなっている。ニールセンIQのデータによると、米国におけるチョコレートの単価は、3月上旬までの1年間で10.4%上昇したが、その前の1年間の14.3%に比べると上昇率が小さくなった。

モンデリーズの広報担当者はロイターに対し、今年は投入コストが上がるため、値上げだけでなく、重量の変更も検討すると述べた。価格を据え置いたまま内容量を減らす、いわゆる「シュリンクフレーション」だ。

アナリストによると、リンツのような高級チョコレートメーカーは、既にチョコレート菓子の利潤が高いため、通常のメーカーよりも小幅な値上げ率に抑えられる可能性がある。それでも「こうしたメーカーでさえ販売量は圧迫され、楽な年にはならないだろう」という。

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